『子どもの精神医学ハンドブック(第2版)』を読みました。
4年ほど前に買った本ですが、
通しでがっつり読んだのは、今回が初めてでした。
今日は本書の簡単な紹介と、「わが子とのファーストコンタクト」
というテーマについて書いていきます。
※「ファーストコンタクトの方法の違いが、母親の育児姿勢に影響を与える?」
というテーマです。
『子どもの精神医学ハンドブック(第2版)』は、
非常に幅広い内容が収められている本です。
子どもの出生から思春期までの期間において、
子どもに発生しうる問題や精神疾患について書かれています。
各章のタイトルと簡単な内容を並べると……
★子どもと発達(出生~就学前の発達の経過)
★発達の障害(知的障害、自閉症スペクトラム、ADHDなど)
★子ども虐待(虐待の種類、要因、子どもへの影響など)
★主に心因で起こるとされる病気
(愛着<アタッチメント>の障害、習癖、不安障害など)
★精神病圏の子ども(統合失調症、気分障害など)
★子どもの人となり(性格、パーソナリティなど)
★子どもと災害(災害の種類、子どもの特性など)
★思春期の病気(摂食障害、対人恐怖、非行など)
★治療をめぐって(治療の取り組み方、薬物治療など)
……となっています。
1冊の本に、これだけ多くの内容が掲載されていますが、
それぞれの項目において深く学びたい場合は、
別途専門書が必要になると思います。
本書はとことん深く学ぶための本というよりは、
全体像を見渡して感じ取るための本のような気がします。
私はそれぞれの項目を学ぶというよりは、
出生してから思春期までを生き抜いてきた子ども達のストーリーを
感じ取りながら読み進めました。
学術書として読んでしまえば、ただの症例に見えてしまうことでも、
本来、1つ1つの症例には、とてつもない重みがあるはず。
リアリティに心の焦点を合わせて、
「どの子も辛かっただろうなぁ」って思いを馳せながら
読み進めました。
人は皆、それぞれ違ったストーリーを持っています。
その1つ1つが同じように大切なストーリー。
私はカウンセラーとして、クライエントさんのストーリーを
大切にしていこうと改めて思いました。
そして、自分自身が生きてきたストーリーと、
これから作っていくストーリーについても
大事にしていこうと思いました。
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ここから「わが子とのファーストコンタクト」
というテーマに移ります。
まずは『子どもの精神医学ハンドブック(第2版)』より引用します。
出産直後にわが子を抱かせることによって、女性は育児衝動を掻き立てられるようだ。
出産直後の赤子を母親に抱かせる試みは、産科臨床ではしだいに普通のことになってきている。
●清水将之著『子どもの精神医学ハンドブック(第2版)』
(日本評論社/2008/P5)より引用
本書には実験が紹介されていて、その実験によると、
母親とわが子とのファーストコンタクトの方法の違いが、
その後の育児姿勢の違いにも影響してくるとのこと。
具体的には……
(A群)出産直後にわが子を抱いた母親の群
(B群)産湯につかって産着にくるまれてから
わが子を抱いた母親の群
上記の(A群)と(B群)の母親では、
その後の行動に違いが見られたらしいです。
A群の母親は、健診時にわが子をなかなか看護師に手渡そうとしない、赤子の脱衣・着衣を看護師に任せず自分で行おうとする、健診時もずっと赤子と一緒に居たがる、ということがわかった。
一方B群の母親は、さっさと赤子を看護師に手渡し、診察台の横に衝立を立ててみると、覗き込むように外側からわが子を眺めている。
脱衣・着衣も看護師まかせにしている。
●清水将之著『子どもの精神医学ハンドブック(第2版)』
(日本評論社/2008/P4)より引用
あくまで傾向だとは思いますが、
それでもはっきり違いが見られるのですね。
本書によると、6歳まで追跡観察したところ、
A群の母親のほうが、わが子に語りかける時間が長かったそうです。
(子どもが幼児期になっても)
出産直後のファーストコンタクトの違いが、
後の子育ての姿勢に大きく影響する傾向が見られる。
「なるほどなぁ」と思うと同時に、
「ファーストコンタクトの影響は大きいんだなぁ」
ということを学びました。
このテーマについては、男性の私よりも女性の方のほうが
ピンと来る話だと思います。
「うん、わかるわかる」という方もおられるでしょうか?
いずれにしても、しっかり心に留めておこうと思った内容でした。
長くなりましたが、ここまで読んでくださり、
ありがとうございました!
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!