知って良かった、大人のADHD ~ADHDとSADなどの併発

星野仁彦先生の本、
『知って良かった、大人のADHD』を読みました。

381ページもある新書版の本で、
読み応えがありました。

 

今日は、その本の簡単な紹介と、
「ADHDとSAD(社会不安障害)などの併発とその対処」
というテーマについて書いていきます。

※ADHDとは、「注意欠陥・多動性障害」という
発達の障害の一種です。

 

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『知って良かった、大人のADHD』は、
新書版の本ではありますが、内容はとても濃い本でした。

一冊の中に、ADHDの概念、ADHDの有名人、
大人のADHDの事例、ADHDの症状と診断、
よく見られる合併症、ADHD発症の原因、
二次障害、予防法、ADHDの周囲の人へのアドバイス、
ADHD本人へのアドバイス、心理カウンセリングと薬物療法など、
多岐に渡って掲載されています。

 

この本を集中してじっくり読むことで、
私のADHDに対する理解も深まりました。

ADHDに関して、総合的に、そして専門的に、
知りたいという方にオススメです。

 

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さて、注意欠陥・多動性障害(ADHD)ですが、
以下の3つの分類に分けることができます。

 

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①多動衝動性優勢型

外交的で、積極的。男児・男性に多い。
乱暴で衝動的な行動が目立ちます。

 

②不注意優勢型

内向的で、消極的。女児・女性に多い。
多動、衝動性はあまり目立たず、
むしろ、ボーッとして人の話を聞いていないという
不注意傾向が目立ちます。

 

③混合型

①と②の混合型です。

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実は、上の②不注意優勢型の場合、
社会不安障害や対人恐怖症やうつ病などが
併発しやすいです。

(不登校から自己愛性などのパーソナリティ障害に
発展する場合も)

 

※①多動衝動性優勢型の場合は、
行為障害(非行)、反社会性・境界性などの
パーソナリティ障害の併発が多いです。

(①②③共、依存症や摂食障害などの併発も多い)

 

不安障害でお悩みの方の場合でも、
ADHDのある人と、そうでない人とでは、
心理的アプローチやサポートの仕方、
処方される薬の種類などが異なってきますので……

 

「不安障害専門カウンセラー」の私としましても、
クライエント様が、どちらに相当するのかなどについても、
注意しながらお話しを伺っています。

(不安障害を併発している②不注意優勢型に対応しています)

(3~4年前から、ADHDなどの発達障害に関する相談も、
ときどき受けていました)

 

※①多動衝動性優勢型の場合や反社会性・境界性・自己愛性
パーソナリティ障害を併発されている場合は、
私のところでは、体制上フォローできませんので、
精神科や他の専門機関に行っていただくことになります。

※②不注意優勢型(不安障害を併発)の場合も、
精神科に行っていただいた上で、
心理的なアプローチ&サポートを私のところでも
させていただくという形になります。
(最初のうちは、薬がとても有効な場合が多いです)

 

『知って良かった、大人のADHD』の
大人のADHDの事例の中にも、
うつ病とSADが併発している事例が書かれていました。

小学生の頃から、注意散漫、爪かみ・抜毛癖などの癖、
他児との喧嘩、規律違反、協調性の欠如、
学業不振などが認められたD子さんの事例です。

 

外来受診時は、気分の落ち込み、不安焦燥感、自責感、無気力感などが著しく、自己評価が低いため、人前で話す時も緊張しオドオドして、言葉につかえてしまうと訴えました。

D子さんにADHDにうつ病・社会恐怖を合併していることを告げました。

そして、メチルフェニデートとSSRIによる薬物療法をD子さんに行ったところ、自分の感情がコントロールできるようになり、子どもを叱ることがなくなりました。

仕事や家事も焦らずにマイペースでのんびりできるようになり、またそれまで苦手だった書類作成も集中してこなせるようになりました。

●星野仁彦著『知って良かった、大人のADHD』
(VOICE新書/2015/P105)より引用

 

ADHDという正しい診断とそれに対応した正しい薬の選択が、
功を成した事例です。

SADとうつ病のみの診断しか出されてなかった場合は、
「メチルフェニデート」を処方されることもなかったでしょう。

※「メチルフェニデート」(商品名リタリン)は、乱用の問題より、
2007年10月にうつ病の適応症より削除されました。

 

「メチルフェニデート」(MPH/商品名コンサータ)は、
ADHDの第一選択薬です。

ただし、他の薬同様、全員の方に、
同じように効果が見られるわけではありませんし、
副作用もあります。

 

それに、薬の力で辛い症状を緩和している間に、
心理療法などの心理的サポートを受け、
心理面からの改善や対処スキルの向上などを
図っておく必要があります。

 

正しいサポートを受けていただくには、
前述したように、
専門家が正しい見立てをするということが
大前提になります。

すべてがそこからのスタートですので、
私も、クライエント様が発してくださったサインを
うっかり見逃したりしないよう、注意していきたいと思います。

(発達障害に関する学習・研鑽も、これからも続けていきます)

 

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●不安障害 克服へのプロセス

不安障害(社会不安障害、パニック障害等)を克服するプロセスは、
上がったり下がったりを繰り返しながらも、
全体的には克服に一歩一歩近づいていくようなイメージです。

一時的に落ち込んだり、逆戻りしたと感じるようなことがあったとしても、
前を向いて取り組んだことは、必ずプラスとして蓄積されています。

ほんの小さなことでも構いませんので、
不安障害の克服につながる「できること」を積み重ねていきましょう。

※「何よりもまず、しっかり休むこと」が、
「できること」ととして適切な場合もあります。

そして、取り組んだ後は、
「よく頑張ったね」と自分のことを褒めてあげてくださいね。

「何を」「どのように」取り組めばいいのか分からない方、
もっと自分に合わせた方法を知りたい方、
専門家に相談しながら無理なく効果的に取り組みたい方は、
私の
個人セッション】【グループセラピーをご利用ください。

確かな内容で、かつ優しく丁寧にサポートをさせていただきますね。

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!