最近、クライエント様やグループセラピーの参加者様に
よく質問されます。
「先生、本当に震えていたんですか?」
今の私だけを見ると、
震えていたようには見えないかもしれませんが、
本当に、本当に、震えていたんです。
今日は、震えていた頃の朝礼当番の様子を、
当時を思い出しながら書きますね。
↑「どうして僕はいつもこうなんだろう……」
震えてしまった後、優しくなぐさめてくれた海の景色と波の音。
放心状態で、ずーっと眺めていました。
それでは、「朝礼当番の体験談」のスタートです。
(私が会社員だった頃の話です)
※緊張場面のフラッシュバックが起こる方、
ここから先は読まれないようにお願いします。
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「前回の朝礼当番の日は休んだから、今日は休むわけにはいかない」
さすがに、朝礼当番が回ってくるたびに会社を休むわけにはいきません。
私は心臓をバクバクさせながら、
重い気持ちで会社に向かって車を走らせました。
運転をしながら深呼吸をやってみましたが、
全然役に立ちませんでした。
会社に近づくにつれて、緊張はどんどん高まっていきました。
会社に着いてから、朝礼開始のチャイムが鳴るまでの時間。
皆の前で、さらし者になるまでの「カウントダウン」。
(当時の私の感覚)
ああ、あと3分。
あと2分。
あと1分、ああ……。
怖くて、逃げ出したくて、ドキドキ、バクバク。
顔も引きつり、同僚と会話しようとしても声が上ずり、
思うように話せません。
「どうせ失敗するに違いない」
「また、皆に馬鹿にされる」
「このまま消えてしまいたい」
絶望的なグルグル思考に陥っている間にも、
無情にも刻々と運命の時は近づいてきます。
「うまくやらねばならない」
「馬鹿にされてはいけない」
自分で自分を、どんどん追い込みました。
そして、そんな状態のとき、朝礼開始のチャイムが鳴るのです。
朝礼では、だいたい10~15名ぐらいのグループで、
立った状態で輪になります。
その輪の中には、厳しく目を光らせている上司もいれば、
私の緊張具合を察知して見ないふりをしてくれている
同僚やメンバーさんたち(私の当時の部下または、
私がリーダーを務めていたグループのメンバー、
私が技術的な面で指導を行っていた人たちなど。
以下、メンバーさんたちという表現に統一)もいました。
その同僚やメンバーさんたちの配慮にはありがたさを感じましたが、
同時に「自分の情けなさに直面」することにもなり、
心がとても痛かったです。
ちなみに、当時の私よりも、メンバーさんたちのほうが、
私の100倍上手に朝礼当番をこなしていました。
(悔しくて、情けなくて、恥ずかしくて……朝礼当番が上手くできない分、
仕事やメンバーさんたちへのフォローを一生懸命やりました。
自分の存在価値を、自分で感じたかったんだと思います)
さて、チャイムが鳴り、私の朝礼当番が始まりました。
「○月○日○曜日、朝礼をはじめます」
「まずは、伝達事項のある方、よろしくお願いします」
……と、スラスラ言えるわけがない。
こんなに短くてシンプルな内容なのに、
実際はというと……
「ま、まままるがつ、まるにち、ままるようび……
ちょうれいを……は、はじめ…(声は震えている)」
「ままずは、でんたつじこう…お願いします…(声はどんどん小さく)」
声は震え、手や足、頭も震え、肩は硬直し、
真っすぐ立っていることもできない。
皆の視線が突き刺さり、私は身動きすら取れない。
(傾いて立っている変な姿勢を自覚はしているが、
それを正すことができない。怖くて)
吃音も出て、こんなに短いシンプルな内容でさえ、
短縮しながらやっとのことで声を出す。
ドキドキ、バクバク。フラフラ。
そして、身動きが取れないほどの硬直。
少しでも動こうとすると、体全体、頭も首も震えまくり。
しかも、見られたくないし、悟られたくないから、
必死で何事もなかったように振る舞う。
いや、振る舞えてなかったけれども、
素直にそれを認めて丸出しにすることなど、
当時の私には怖くてできなかった。
そうこうしているうちに息が苦しくなってくる。
皆の視線が集まる中、深呼吸できる余裕もない。
大きく息をしている音も聞かれたくない。悟られたくない。
仕方がないから息を止める。
その反動で、結局大きく息を吸う。
ハァハァ。
「ダメだって。大きく息をしちゃ。変に思われてしまう!」
もがいているうちに、どんどん息苦しさは増してくる。
意識が遠のいてきた。
ああ、もうだめかも。倒れてしまいそう。
でも、僕は朝礼を進行せねば。
ダメなやつだと思われてしまう。
頭や首は、あいかわらず震えている。
「震えないでくれ!止まれ!止まれ!皆に見られてしまう!」
でも、全然止まらない。
声を出そうにも、最初の一音が出てこない。
出る前から喉と首が震えている。
そして、誰にも聞こえないような小さな震えた声を、
やっとの思いで振り絞って出す。
その声を聞いて、皆があっけにとられているようだ。
「ああ、またやってしまった…」
そして、誰かのフォローによって、
朝礼は勝手に進行していく……。
(そもそも朝礼当番などいなくても、朝礼は進行されていくのです)
そして、朝礼終了。
この時点で、私は頭が真っ白で、
自分が何を言ってどこまでできたのか、
よく分かっていない状態でした。
ただただ感じていたのは……
「ああ、恥ずかしい…」
「なんて僕はダメなやつなんだ…」
「他の人は、あんなにスラスラ話しているのに…」
「またやってしまった…」
「僕なんてここにいる資格がない…」
「皆に馬鹿にされているにちがいない…」
「こいつなんていらないと思われているに違いない…」
「誰とも話さず、この場から消え去りたい…」
「誰も僕のところにこないでくれ…」
「誰も僕のことを見ないでくれ…」
「時間よ早く過ぎてくれ…皆が早く朝礼のこと忘れるように…」
情けなくて、恥ずかしくて、惨めで仕方なかったです。
(同じような体験をされている方へ。私も同じだったのです)
以上、朝礼当番のときの私の実体験でした。
(ちなみに、上記の症状は全て、今では克服できています)
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そうそう、震えといえば、こんなこともありました。
(これも、本当に辛くて惨めでしたね)
頭の震えと闘った、そして心の中で泣いたSAD体験談
(リンクは過去記事)
ここまで長々と書きました。
以上のように、
「先生、本当に震えていたんですか?」の答えは…
「はい、本当に震えていたんです」となります。
ただし、クライエント様&参加者様のご質問を、
別の観点から考えると、ある意味、
今の時代を表わす的確な質問なのかもしれません。
と言いますのは……
カウンセラーが、自分を売り込むために、
本当は体験していないのに、ある日突然自分のプロフィールに
「パニック障害の当事者」などといった言葉を付け足し、
体験者・克服者のふりをするケースもあるからです。
(ブランディング&マーケティングの一環として)
その目的は、集客のため。
でも、それはある意味、クライエント様を欺く行為でもあります。
簡単にそれをやってしまうような思考・行動パターン
(自分さえよければそれでいい等)を持つカウンセラーは、
私だったら、自分の悩みを打ち明ける相手として信頼できません。
真実に基づいた一貫性って、ものすごく大事なことだと思います。
事実とは違ったキャラを作り出したり、演じたりせずに、
ただ「あるがまま」の自分をそのまま見せる。
「あるがまま」の自分でクライエント様とかかわる。
(クライエント様とお会いする前には、
毎回自分のエネルギーの調整・整えはしています)
私は「あるがまま」を提唱する一人として、
その姿勢は貫いていこうと考えています。
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●不安障害 克服へのプロセス
不安障害(社会不安障害、パニック障害等)を克服するプロセスは、
上がったり下がったりを繰り返しながらも、
全体的には克服に一歩一歩近づいていくようなイメージです。
一時的に落ち込んだり、逆戻りしたと感じるようなことがあったとしても、
前を向いて取り組んだことは、必ずプラスとして蓄積されています。
ほんの小さなことでも構いませんので、
不安障害の克服につながる「できること」を積み重ねていきましょう。
そして、取り組んだ後は、
「よく頑張ったね」と自分のことを褒めてあげてくださいね。
「何を」「どのように」取り組めばいいのか分からない方、
もっと自分に合わせた方法を知りたい方、
専門家に相談しながら無理なく効果的に取り組みたい方は、
私の【個人セッション】【グループセラピー】をご利用ください。
確かな内容で、かつ丁寧にサポートをさせていただきますね。
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今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!