今日は、愛着理論(アタッチメント理論)の本家である
ボウルビィ先生の本、
『母と子のアタッチメント 心の安全基地』
の紹介と、読んだ感想などを書いていきます。
最初に、愛着(アタッチメント)について
簡単にまとめておきます。
アタッチメントとは、人が特定の他者との間に培う
密な情緒的きずなのことを言います。
そのきずなは、新生児期にすでに存在しており、
成人から老年に至るまで存在し続けるものです。
乳児期に、母親とどのようなアタッチメントを形成するかが、
後の人生全般に影響を及ぼす(可能性が大きい)と言われています。
カウンセラーが、心の病や心理療法を学ぶと同時に
愛着理論(アタッチメント理論)についての知識も深めておくことは
とても大事なことだと思います。
クライエントさんの病気や問題行動などの表層に現れているものだけでなく
背後にあるものを含めての見立てがしやすくなりますし、
また、カウンセリングの質を高めることにもつながると思います。
(クライエントさんについて、安易に決め付けたり
分かったつもりになってはいけませんが、
愛着理論の知識を深めておくことは、私は必須だと思っています)
さて、ここから本の紹介をします。
『母と子のアタッチメント 心の安全基地』は、
ボウルビィ先生が1970年代後半から80年代にかけて
専門的な会合で行った8つの講演がまとめられている本です。
内容としては、愛着理論の骨格について
一から解説してくれるような本ではありません。
精神分析や、科学・生物学・行動学などとの関連についての記述など
一歩踏み込んだ内容となっており、
どちらかといえば応用編とも言える内容になっています。
なので、愛着理論を初めて学ぶ本としては
本書よりも他の本の方がお勧めです。
ボウルビィ先生の本の中では、
『ボウルビイ 母子関係入門』を先に読まれた方が
理解しやすいかもしれません。
『母と子のアタッチメント 心の安全基地』には、
興味深い理論や実験データからの引用が多数載せられています。
ボウルビィ先生の理論だけではなく、
エインスワース先生やウィニコット先生など
他の先生方の理論や研究についても学ぶことができます。
(巻末には、人名索引が付いていますので探しやすいです)
また、第8章の『アタッチメント、コミュニケーション、治療過程』 が、
どのように臨床を進めていけばいいのかの参考に、
とてもなります。
私はこの論文に出会えたのが嬉しくて、
何度も何度も読み返しています。
いずれにしても、愛着理論を学びたいなら
本家ボウルビィ先生の本も読んでおいた方がいいことは
間違いないと思うので、
勉強したい方(私も含めて)にはお勧めの本です。
ちなみに「アタッチメント」は、産業カウンセラーの資格試験に
出題される可能性もありますよ。
受験される方は、インプットしておいてくださいね。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!