子どもの頃、親の言うことを聞かなかったときに、
「言うことを聞かないのなら、お前を山に捨てに行く」などという
脅かしの言葉を、親から言われたことがありますでしょうか?
私は時々言われていました。
今となっては懐かしい思い出ですが、
当時、小学生(低学年)だった私は
「お前を山に捨てに行く」という言葉に怯えながら、
「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣きながら何度も謝って、
親の言う通りにしていました。
そのとき、私の心は恐怖でいっぱいでした。
ここで、先日読んだボウルビィ先生の
『母と子のアタッチメント 心の安全基地』より引用します。
見捨てるという脅かしは、子どもにとって、もう愛さないという脅かしよりも、もっと脅威的である。
母親が数時間姿を消すとか、子どものスーツケースの荷造りをして、通りへ連れ出し、悪い子の家といわれているほうへ歩かせるなどによって、脅かすふりをするときは、とくにそうである。
●ジョン・ボウルビィ著『母と子のアタッチメント 心の安全基地』
(医歯薬出版/1993/P190)より引用
親が子どもに言うことを聞かせるための方法として、
ついつい使ってしまった「捨てる」「見捨てる」という脅かしの言葉は、
親にとっては本気ではなかったとしても、
子どもにとっては、生命の存続の危機として心に響きかねません。
そうなると、子どもにとっては「言うことを聞く」という生易しい状態ではなく、
「脅かされて、生命の危機を感じ、服従する」ということになります。
そのような脅かしを繰り返し受けた子どもは、
そのとき感じた不安や恐怖、そして怒りを心の奥深くに刻み込み、
それが人生全般に影響を及ぼすことになりかねません。
だから、子どもが言うことを聞かない場合でも、
子どもを脅かすという方法を取ることは、私はお勧めしません。
それよりも、言うことを聞こうとしない子どもに対して
「どうしたの? お話してみて」と柔らかく問いかけて、
まずは子どもの話を聞いて、
気持ちを汲み取ってあげてほしいなと思います。
「そうしたいけど、ついつい感情的になって、子どもを脅かしてしまう」
という方は、信頼できるカウンセラーに相談されるのも一つの方法ですよ。
なるべく早いうちに、子どもの中に根付きつつある
不安や恐怖を溶かしてあげるためにも、
親が一歩踏み出すことは、とても大事なことだと思います。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!