今日は、アン・ワイザー・コーネル先生の本、
『フォーカシング・ニューマニュアル』を紹介します。
フォーカシングのプロセスにおいて、とても重要な
「プレゼンス」という状態についても説明していきます。
※「プレゼンス」は、他の心理療法を用いるときでも重要です。
※お悩み中の方にとっても、役に立つ考え方です。
『フォーカシング・ニューマニュアル』は、
フォーカシングというものを一通り学んで実践されている方が、
その技術を高めるのに役立つ本です。
内容がとことん深くて難易度も高めなので、
どちらかといえば支援者向けの本だと思います。
※入門書としては、この本がオススメ↓
本書では、2人で行うフォーカシングのセッションにおいて、
リスナー(聴き手)がどのようにフォーカサー(話し手)に
寄り添っていけばいいのかが詳しく解説されています。
フォーカサー(話し手)の言葉に対しての
リスナー(聴き手)の伝え返しの言葉のバリエーションも多数載っていて、
とても参考になりました。
本書では、一貫して「プレゼンス」の状態の大切さが説かれています。
「プレゼンス」とは、「体験すべてと一緒にいられる能力」。
そのことについて書かれているところを引用します。
プレゼンスの状態だと、私たちは、気づくことのできるすべてのものを抱えて、包含することができます。
プレゼンス状態は、私たちがどんなものでもすべてのものといっしょにいられるようにしてくれます。
もっとも怖がっていて傷ついている場所。
もっとも凶暴で醜い怪獣たち。
もっとも批判的な批評家。
私たちにまったく属していないように感じる部分でさえも。
プレゼンス状態では、私たちは、ある部分を他の部分よりえこひいきしたりせずに、私たちが気づいたすべてのものと関係をもつことができます。
すべてが聴いてもらえます。
この体験すべてといっしょにいられる能力は、時間をとって開発していくものです。
●アン・ワイザー・コーネル著『フォーカシング・ニューマニュアル』
(コスモス・ライブラリー/2005/P72)
ちょっと掴みにくいかもしれませんが、
「プレゼンス」とは、感情に巻き込まれたり、逆に疎外(解離)したりせずに、
評価することなくそのままを受け入れられる状態(在り方)のことをいいます。
これには、自分の準拠枠(価値観など)に引っ張られない状態(在り方)
という意味も含んでいますので、カウンセラーにとっては
通常のカウンセリングでも大切になってくる部分だと思います。
「プレゼンス」は、
「あるがまま」や「マインドフルネス」の考え方とも似ていますね。
「プレゼンス」の状態を保つことで、
自分の中にあるもの(辛い感情など)と関係を持つために必要な
「安心感」や「心のスペース」が得られます。
フォーカサー(話し手)にとっては、
自分の中にある「感じ」や「感情」と一緒にいることがしやすくなります。
そのためには、フォーカサー(話し手)をサポートするリスナー(聴き手)が、
自分自身もプレゼンス状態でセッションの場に、
しっかりといることがとても大切。
※2人で行うセッションの場合。
リスナー(聴き手)は、フォーカサー(話し手)が
プレゼンス状態にとどまっていられるようにサポートします。
まぁ、こうやって文章で書くのは簡単なのですが、
フォーカサー(話し手)に寄り添いながらも、
ついつい頼まれてもいないのにアドバイスをしたくなったり、
分析思考に偏りすぎたりすること、私にもあります。
その瞬間、私は「プレゼンス」の状態から外れています。
そして次の瞬間、そんな自分を「プレゼンス」の状態に戻そうと試みるわけです。
※試みずに、外れたまま進んでしまうこともあります。(反省です)
……というわけで、今日は私にとっても磨くべき重要なテーマの1つである
「プレゼンス」について書いてみました。
体験者として1つ言えますのは、不安障害で悩んでいた頃と比べると、
明らかに、プレゼンスの状態に自然にいられるように
なってきているということです。
心がどんどん静かになってきています。
そういった意味では、
「瞑想」することもこの能力を伸ばすのに有効な気がします。
※フォーカシングのプロセスそのものにも、
瞑想と共通する部分があります。
現在、不安障害などでお悩みの方も、
心を静かに保つ時間(瞑想、フォーカシングなど)を
日常で持ってみては(増やしてみては)いかがでしょうか。
短い時間でも、積み重ねれば大きな違いが出てきますよ。
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昨日の記事を竹内成彦先生が、
ご自身のブログ「カウンセラーの憂鬱」で紹介してくださいました。
私の心の叫びを聴いてくださって、ありがとうございます。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!