今日は、近田輝行先生の本、
『フォーカシングで身につけるカウンセリングの基本』を紹介します。
読んだ感想と、カウンセリングの重要な要素の一つである
「体験過程」と呼ばれるものについても書いていきます。
本書は、フォーカシングについて、
生い立ちから技法までがコンパクトにまとめられている本です。
「体験過程」の視点から捉え直した
来談者中心療法についての解説も載せられています。
ここで、本書より「体験過程」とは何か?という部分を採り上げます。
(「ジェンドリン」は、フォーカシングを確立した先生の名前です)
ジェンドリンはいまここで直接感じられるこのような気持ちの流れを経験(experience)とは区別し、experienceにingをつけました。
それを臨床心理学者の故村瀬孝雄が「体験過程」と訳し、そのことばが定着しています。
体験過程とは、いまここで直接感じられる概念化以前の感情の流れで、そこには豊かな意味が含まれており、さまざまな概念化が導かれます。
●近田輝行著『フォーカシングで身につけるカウンセリングの基本』
(コスモス・ライブラリー/2002/P60)より引用
「いまここで直接感じられる概念化以前の感情」
言い換えると、言葉や概念そのものではない
無限に言語化・象徴化することが可能な何かしらの感じ(センス)
と表すこともできます。(その流れが「体験過程」)
(例)何だか分からないけれど、いつもと違う感じがする……。
その感じ(センス)は、言語化・象徴化されることにより
新たな経験となって、変化していきます。
(例)それは……胸にある……寂しい……泣いている……。
その部分に、カウンセリングの進展の一つの要素があると考えています。
(来談者中心療法、フォーカシング共通の重要なポイントです)
はじめは気づけないことも多いですが、
確かにそこにある感じ(センス)。
たとえそれが小さなものだったとしても、
大事にしていきたいと思っています。
『フォーカシングで身につけるカウンセリングの基本』
来談者中心療法とフォーカシングの両方を
積極的に活用している私にとっては、
両者の共通点なり、それぞれの活かし方・深め方なり
とても参考になる本でした。
フォーカシングの全体像を知るための
最初の一冊としても、お勧めです。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!