杉原保史先生の本、
『プロカウンセラーの共感の技術』
を読みました。
今日は、その本の内容を取り上げながら、
「共感的に聴く」というテーマについて書いていきます。
「共感的に聴く」ということは
カウンセラーにとっての重要な技術であるだけでなく、
一人の人間としての在り方(人間性)そのものでもあると思います。
「怖いのですね」
「寂しいのですね」
「悲しいのですね」
身につけた技術として、
「共感しているつもり」で表面的に伝え返しても
本当の共感にはなりません。
「相手の立場を理解しているつもり、ひしひしと感じているつもり」
で伝え返しても、本当の共感にはなりません。
独りよがりの「つもり」では、クライエントさんの心に響かないし、
「この人に話しても無駄だ」と判断されても仕方ないと思います。
『プロカウンセラーの共感の技術』には、
「共感的に聴く」ためのヒントが
様々な切り口から書かれていました。
例えば……
このように、共感には”関わり”が含まれます。
もし共感を目指して話を聴くのだとすれば、そこですることは相手の言葉を単に言語情報として処理することではありませんし、単に観察することでもありません。
自分自身もその場に”参加する”のです。
その場に参加して、”感じる”のです。
そして感じたことをもとに、”反応する”のです。
●杉原保史著『プロカウンセラーの共感の技術』
(創元社/2015/P142)より引用
共感に含まれる「関わり」。
そこに「参加する」のには、勇気(覚悟)も必要です。
飛び込む勇気(覚悟)。
巻き込まれる勇気(覚悟)。
ただの部外者として、おっかなびっくり当たり障りのないように
聴いていても、本当の共感は生まれませんよね。
私自身で考えてみても、そんな人には自分の辛い感情は
やっぱり話したくないという気持ちになると思います。
「自分(カウンセラー)も参加して、感じて、反応する」。
そして、クライエントさんと相互に刺激し合い、反応し合うことで、
「共感的に聴く」ことのプロセスが展開していきます。
上に「巻き込まれる」と書きましたが、
これはクライエントさんの感情や迫力に
「飲み込まれる」という意味ではありません。
巻き込まれながらも、観察の視点を失わないことや、
カウンセラーとクライエントさんという枠組み(境界線)を
しっかり守るといったことも求められます。
それが、双方安全に「共感」を深めていける
ベースになると思います。
「関わりと観察のバランスを取ること」
とても奥深くて、覚悟も必要で、
簡単ではない部分ですね。
もっともっと自分を伸ばしていけるように、
色々な学びに挑戦しながら、自分を磨いていこうと思いました。
技術を身につけることだけでなく、
「共感的に聴く」ことができる人間性を
高めて(広げて)いきたい。
そんな気持ちが自分の中で強まりました。
もう1箇所、引用します。
経験的に言って、死や病や孤独などの受容は共感能力を高めるものだと思います。
人生は一度きりであり、過ぎ去った時間は二度と帰ってくることはなく、自分はいつか死ぬということを受け容れている人は、共感する力が高いと思います。
●杉原保史著『プロカウンセラーの共感の技術』
(創元社/2015/P205)より引用
社会不安障害のオフ会で、皆さんがお互いの体験をシェアされているとき、
その様子を伺いながら「共感能力の高い人が多いなぁ」と感じます。
一人一人の体験は固有のもので、全く同じ体験はありえませんし、
それぞれ固有の価値観に影響されているケースが多いとしても、
深い心の痛みを体験している人は、やっぱり共感能力が高いと思います。
※引用文にあるように、ある程度「受容」できていることが必要ですが。
※お互いを癒しあえるようなテーマ以外の話の場合は、
また違った能力や技術が必要になります。
そういった意味では、私も社会不安障害の体験者。
辛い症状や、逃げたくなるような感情、
そして克服のプロセスまでを体験しました。
あの辛かった日々のことを、これからも忘れてはいけない。
「より共感的に聴く」ために活かしていかねば、と改めて思いました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!