今日は、氏原寛先生の本、
『カウンセラーは何をするのか』を紹介します。
読んだ感想に加えて、
カウンセリングの大事な要素である「共感」についても
本書の中から採り上げながら書いていきます。
氏原先生の本は、どの本を読んでもとても深くて
「いったい何十年経験を積んだら、このような本が書けるようになるのか」
と、圧倒されます。
それだけ私にとっては、多くを学べる本だということですね。
本書『カウンセラーは何をするのか』は、
前著『カウンセリングはなぜ効くのか』の続編的な本です。
カウンセリングの場において、
カウンセラーとクライエントに何が起こっているのかを、
カウンセラーの能動性と受動性に着目しながら
本当に詳細に教えてくれます。
カウンセラーとクライエントの関係性や
聴くこと、返すこと、見立て、枠組み、変容、「今ここ」についてなど
幅広く、しかも深く本書には解説されています。
本書を読んで最も印象的だったのは、
第五章(感情的共感)と第六章(感覚的共感)の
2つの章に渡って書かれている「共感」についての記述です。
(文字びっしりで、何と87ページ分も「共感」について書かれています)
ここまで「共感」について深く書かれている本は、
なかなか無いように思います。
ここで、本書の中の「共感」に関する記述から1箇所引用します。
しかしカウンセラーは、クライエントにたえずゆれ動かされるけれども(むしろ必要である)ふり回されるわけではない。
●氏原寛著『カウンセラーは何をするのか』(創元社/2002/P216)より引用
すごく大事な部分だと思います。
あくまで、カウンセリングという枠を守り
クライエントの話に呑み込まれていない状態を保ちながらも、
しっかりゆれ動かされること。(自覚しながら)
ゆれ動かされる部分(あるいは、ゆれ動く部分)がなかったら、
「共感」としては機能しにくいのではないかと思います。
例えば、カウンセラーが、ある程度の経験を積んで
自分の中に形(パターン)というものが出来上がってくると、
何となくうまくやれている気になってくることが、あると思います。
そして、自分の形(いつものパターン)でクライエントに対し、
「あなたは、○○○(感情を示す言葉)なのですね」と、
教本通りの「ひしひしと感じながら」ができてるつもりで伝え返したとします。
(その気になっているだけで、ゆれ動いてはいない状態)
そのとき、カウンセラー自身は上手くやれているつもりでも、
それを聞いたクライエントが、カウンセラーの言葉に
白々しさやわざとらしさを感じて、しらけてしまうことがあります。
私自身も、経験を積んだカウンセラーに話をしたときに
相手の応答の中に「いつものパターン」を感じたことで
しらけてしまったことがあります。
この部分、経験を積めば積むほど陥りやすいことだと思うので、
私も気をつけていかねばと思いました。
『カウンセラーは何をするのか』
ロジャーズ流にとらわれるあまりに
受動的なカウンセリングになってしまうよりも、
もっと能動的にいけ(もちろんクライエントを傷つけないように配慮しながら)
という強いメッセージを伝えてくれる本でした。
いい本と出会えたことに感謝です。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!