社会不安障害の治療法の一つとして、
行動療法のエクスポージャー(曝露療法)があります。
エクスポージャーとは、恐怖や不安を感じる状況・場所に対峙しながら、
不適応反応を消去していく方法です。
最近読んだ、貝谷久宣先生の本、『対人恐怖 社会不安障害』に、
「エクスポージャーの効果を出すための要点」が書かれていました。
エクスポージャーの効果を出すための要点
①一回のエクスポージャーが四五分以上になると不安が急激に減少する。
②エクスポージャーの回数が多いほど効果が上がる。
③エクスポージャーをする間隔が短いほど効果が上がる。
④エクスポージャーの場面の設定を自分でしたほうが不安は小さい。
●貝谷久宣著『対人恐怖 社会不安障害』(講談社/2002/P175)より引用
私は、自分自身が社会不安障害の克服に取り組んでいたとき、
エクスポージャー的な療法も取り入れていました。
※「-的」と書いたのは、当時、心理療法のことを知らずにやっていたからです。
ちなみに私は、恐怖や不安に挑むための行動中や行動後に、
「よくやったね!」「それでもいいよ!」と
自分に言ってあげることを重視していました。
それら自分の体験を思い出しながら、
引用した「要点」を考察してみます。
①45分以上になると、不安が急激に減少するのですね。
なるほど。
私の場合は、そういう時間的な基準は設けずに
「やろうと決めた行動」を全うすることだけを考えていました。
30分以内の行動が、ほとんどだったと思います。
常に45分以上を狙うと、場面的に限定されるし、
クライエントさんの負担も 大きくなるので、
短い時間の行動と、45分以上の行動をバランスよく
組み合わせてもらうようにしたいなと思いました。
②③については、正にその通りだと、私も思います。
(回数が多いほど、間隔が短いほど、効果が上がる)
④については、クライエントさんが自分の意志で
場面の設定をした方がいいと、私も思います。
(もちろんカウンセラーが寄り添い、必要に応じて支えながらです)
人から言われたことを、いやいや行動に移そうとすると、
予期不安がより大きくなってしまうのではないかと思います。
(「嫌だなぁ。怖いなぁ。今度は何をやらされるのだろうか。
やる気がしないからやめておこう……」など)
それに、言われるがままの行動は、
依存心を育ててしまう可能性もありますよね。
クライエントさんが自分で場面の設定をするということは、
事前に場面をイメージすること(前向きな気持ちで)につながり、
それが予行演習にもなりますので、大事にしたいと思います。
自己肯定感や自立心や自信にも関わってくることだと思います。
『対人恐怖 社会不安障害』は、
「対人恐怖」という言葉が目立つタイトルの本ではありますが、
内容的には「社会不安障害」について幅広く詳しく解説されています。
各章のタイトルは、以下の通りです。
1 社会不安障害のいろいろ
2 社会不安障害とは
3 診断の方法
4 社会不安障害がおこる原因
5 社会不安障害によくみられるほかの病気
6 社会不安障害にしばしばみられる性格
7 治療はこのようにされる
8 ソーシャル・スキル・トレーニング
●貝谷久宣著『対人恐怖 社会不安障害』(講談社/2002/目次)より
各章のタイトルのみ抜粋
クライエントさんにとっても、カウンセラーにとってもためになる、
深く学べる一冊です。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!