最近、社会不安障害に関する本をよく読んでいます。
知識の再確認と強化のためです。
その道の専門家として、頭に入れた知識は体系化して
いつでも活用できるようにしておきたいと思います。
今日、紹介する本は、
日本評論社の『社会不安障害』という本です。
この本は治療者向けの本です。
4つの章に分けられていて、それぞれ著者が異なっています。
各章のタイトルと著者は、以下の通りです。
●社会不安障害の短期療法-米国の展望
(デイビッド・V・シーハン)
●社会不安障害の長期治療-ヨーロッパの展望
(ボーウィン・バンデロー)
●社会不安障害の評価尺度と鑑別診断
(貝谷久宣、宮前義和、山中学、林恵美)
●対人恐怖症と社会不安障害の類似点と相違点
(大野裕)
この本には、主な薬剤の効果、各症状の頻度など(他にもいろいろ)
他の社会不安障害関連書では手に入りにくいと思われる
貴重なデータが記載されています。
社会不安障害の評価尺度とその結果の分布なども、
とても参考になりました。
なお、記載されているデータの多くは、海外からのものです。
なので、薬剤名は英語の一般名で書かれており、
日本名は、別途調べる必要がありました。
※例えば代表的なSSRIであるパキシルは
“paroxetine”で書かれています。
ここで本書より、社会不安障害の恐怖と回避について、
健常者との比較データが載せられている部分を引用します。
まず社会不安障害患者の恐怖と回避の頻度で、多い順にあげていくと、「多くの人の前で話す」「他人の視線を浴びる」「人前でパフォーマンスする」「目上の人と話す」「社交的な集まりに出る」などである。
これに対して、健常者の恐怖の頻度をみると、「人に叱られる」がトップにきている。
それから「人の前で話す」も多い。
「公衆トイレで用を足す」については男女の差がはっきりみられ、女性のほうにより恐怖心が強いということがわかる。
●樋口輝彦・久保木富房編、不安・抑うつ臨床研究会編『社会不安障害』
(日本評論社/2002/P88)より引用
やはり社会不安障害を発症すると、
「他人の視線を浴びながら何かをする」ということに、
恐怖を持つようになることが多いようですね。
私自身がそうだったので、納得のデータです。
引用箇所には載っていなかったのですが、
他にも「他人からの評価を恐れる」ということも
特徴的だと思います。
※社会不安障害の症状として特徴的だということは、
社会不安障害が克服できれば軽減されるということを示しています。
※希望を持っていただければいいなと思い、
本記事で取り上げました。
健常者が最も恐れているという「人に叱られる」については、
叱られて嬉しい人はそういないと思うので、こちらも納得です。
トイレに関する恐怖の男女差については、
初めて目にしたデータだったこともあり、
少々意外に感じました。
それはきっと、私の体感的に、
「個人差」も大きいのではないかと感じているからでしょう。
とりあえず、頭の片隅に入れておこうと思います。
本書には、身体症状の比較データなど
様々なデータが載っていますので
興味のある方は、読んでみてくださいね。
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今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!