双極性障害の関連書を多数出しておられる
加藤忠史先生(編集)の本、
『躁うつ病はここまでわかった』を久し振りに読み返しました。
今日の記事では本書の簡単な紹介と、
双極性障害の治療に用いられる「リチウム」「バルブロ酸」の
使い分けについて書いていきます。
私が持っている『躁うつ病はここまでわかった』は、
2007年に出版された第1版ですが、
本書には2012年に出版された第2版が存在しています。
詳しく確認はしていないのですが、
2010~2012年に双極性障害への適応を取得した
非定型抗精神病薬オランザピン(ジプレキサ)の関連などが
加筆修正されているものと思われます。(タイミング的に)
※この記事は、第1版を読んだ上で書いています。
さて、『躁うつ病はここまでわかった』の内容について。
7つの章を、5名の先生方と1名の体験者さんで
分担して書いておられます。
・躁うつ病の症状と診断(樋口輝彦先生)
・躁うつ病の薬物療法(田島治先生)
・躁うつ病の心理社会的治療(忽滑谷和孝先生)
・躁うつ病治療の実際(岡本長久先生)
・躁うつ病の原因はどこまでわかったか(加藤忠史先生)
・躁うつ病体験記(霧島カエルさん)
・躁うつ病Q&A(加藤忠史先生)
多くの先生方の考えを1冊で学ぶことができ、中身が濃いです。
全体的には、読みやすさと専門性の高さが
うまくバランスしているように感じました。
ここで、双極性障害の治療によく用いられる、
気分安定薬のリチウムとバルブロ酸の使い分けについて
書かれているところを引用します。
機嫌のいい躁病にはリチウム、不機嫌な躁病にはバルブロ酸が効くと従来よりいわれていますが、最近の多くの研究でも、Eさんのような躁うつ病の躁・うつ混合状態ではリチウムよりバルブロ酸のほうが治療反応率がよいことが示されています。
●加藤忠史編『躁うつ病はここまでわかった』(※第1版)
(2007/日本評論社/P108)岡本長久先生の章より引用
機嫌のいい躁状態には、リチウム。
不機嫌な躁状態や躁・うつの混合状態の人には、バルブロ酸。
※リチウムが効きにくい人やラピッドサイクリング
(躁・うつの切り替わり周期が早い)の人にも
バルブロ酸が有効とされています。
あくまで1つの目安ではありますが、
覚えておくと理解が深まるポイントだと思いますので、
ここで取り上げました。
せっかくなので、両方の薬の商品名もいくつか記しておきます。
★リチウム(炭酸リチウム):リーマス、リチオマール
★バルブロ酸(バルブロ酸ナトリウム):デパケン、デパケンR、バレリンなど
リチウム使用時は、血中濃度の管理がとても大切になってきます。
定期的なチェックと、医師の指示通りの量を服用することが重要です。
有効量と副作用の出る量が近接していますので、
服用されている方は気をつけてくださいね。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!