今日は、原井宏明先生と岡嶋美代先生の共著の本
『図解 やさしくわかる 強迫性障害』を紹介します。
強迫性障害の治療を進める際の
「家族ができること」についても書いていきます。
強迫性障害(OCD)には、
手を洗い続けたりする「不潔恐怖・洗浄強迫」や
確認を繰り返す「加害恐怖・確認強迫」など
色々なタイプがあります。
『図解 やさしくわかる 強迫性障害』には、
★強迫性障害の各タイプを理解するための解説
★強迫性障害の主な治療法である
エクスポージャー(曝露療法)についての解説と取り組み方
★再発の予防と対処について
……などが書かれています。
一般の方向けに
イラスト入りで分かりやすくまとめられた本ですが、
内容が充実していますので
カウンセラーの勉強用としても役立つ本だと思います。
ここから、「家族ができること」について書きますね。
自分自身の強迫行為(儀式)に疲れると、家族に確認の代行をさせるなど、OCDの人は家族を巻き込んで、自分の不安や負担を軽くしようとします。
しかし、家族が協力するほど症状は悪くなります。
●原井宏明・岡嶋美代共著『図解 やさしくわかる 強迫性障害』
(ナツメ社/2012/P54)より引用
いつまでも手を洗い続けたり、確認行為を繰り返してばかりいる
患者さん(クライエントさん)に対して、
家族が責めたり説き伏せようとしたりしても
「好きでやっているわけじゃない」
「私だって辛いんだ」と、言い返されるだけだと思います。
(強迫観念に支配された状態)
その場合は、
「できなかったことを指摘するのではなく、
少しでもできたことを褒める」といいようです。
※「手洗いの時間が短くなって、すごいね」など。
そうすることによって、
強迫観念・行為に支配されそうになっている状態から
意識を少しずらすことができます。(患者さんが)
また、患者さんから「火はちゃんと消したかな?」などと
繰り返し確認や保証を求められた場合、
「消えてたから大丈夫」と答えると、
患者さんの強迫行為に家族が巻き込まれていってしまいます。
※確認要求が、どんどんエスカレートしていきます。
その場合は、巻き込まれないように割り切って
「火は消えていない」と、言い続けるといいようです。
ERPの最中は、親も不安や心配を受け止める練習をする、夫婦で共通の認識を持っておくなど、家族で乗り越えるための心構えが必要です。
●原井宏明・岡嶋美代共著『図解 やさしくわかる 強迫性障害』
(ナツメ社/2012/P128)より引用
※ERP:エクスポージャーと儀式妨害(曝露反応妨害法)
今までが、確認行為に協力したりなど
患者さんの行動に家族が巻き込まれた状態だとしたら、
その状態から抜け出すことも
患者さんの回復のためには必要なことです。
その場合、家族の一人一人にも
それぞれ不安がつのることと思います。
該当されるご家族の方には
そういったことも全部含めて
専門家に相談されることをお勧めしたいと思います。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!