今日は、古宮昇先生の本、
『プロカウンセラーが教える はじめての傾聴術』
を紹介します。
防衛機制の中の「知性化」についても、
事例を入れながら書いていきます。
『プロカウンセラーが教える はじめての傾聴術』は、
傾聴の基本的態度(「興味をもって聴く」「共感をもって聴く」など)と
実践テクニック(姿勢、うなずき、繰り返しなど)が、
図解入りで分かりやすく学べる本です。
傾聴の悪い対応例・良い対応例などの事例や、
人の心のなりたち(衝動、自尊感情、愛など)と
傾聴を妨げる心の動き(各種防衛機制など)も学ぶことができます。
本書は、どちらかといえば傾聴を学びたい一般の方向けの本ですが、
内容的に充実していますので、
産業カウンセラーの実技試験対策(一部、学科試験対策にもなる)
としても使える一冊だと思います。
一般の方から専門家までの幅広い方にお勧めしたい一冊です。
ここで、本書より防衛機制の一つである「知性化」についての
記述を引用します。
たとえば、自尊感情をもてず劣等感に悩まされている人が、根本にある問題に直面することを避け、劣等感による苦しみだけを取り除こうとして、心理学を学んだり、自己啓発本やスピリチュアルな本を熱心に読んだりすることがよくあります。
そうして知識をつけても、あくまで頭での理解にとどまり、感情的な葛藤を解決することができず、問題はそのまま残されます。
●古宮昇著『プロカウンセラーが教える はじめての傾聴術』
(ナツメ社/2012/P148)より引用
※知性化:感情や衝動欲求を直接的に表現・解放せずに、
それらに対しての知的認識を得ることで心をコントロールしようとする働き。
心の奥にある根本的な問題と直面することを避けるために
「心の痛みを消す方法」などの表面的なHow toばかりを追いかけて、
もっといい方法はないかと、いつも探し回っているようなケースです。
この場合、たとえお気に入りのHow toを見つけても、
根本的な問題と直面することから逃げているので、
結局思うような効果が得られずに、遠回りになってしまうことも多いです。
(それが悪いという意味ではありません。決して無意味ではないと思います)
カウンセリングというものの存在価値を、
内容を把握しないままに、頑なに否定する方がたまにおられますが、
そのような方の中には根本的な問題と直面することを恐れているから
そう言っている方もおられると思います。
(たとえ本人に、そのような自覚がなかったとしても)
(カウンセリングでは、言いたくないことは言わなくても大丈夫です)
だからといって、私は
「How toを追いかけてばかりいても仕方ないよ」とか
本人にその気がないのに、
「問題とじっくり向き合っていきましょう」とか
「心の中を整理してみませんか」みたいなことは、基本的には言いません。
その方にとっては、今のHow toを追いかけている過程も
きっと必要なステップ。
いつか、その方の心の準備が整って、
いよいよ根本的な問題と向き合っていこうという意欲が湧いてきたときこそ
カウンセリングというものが、きっとお役に立てるのではないでしょうか。
(もちろん、本記事のケースは一つの例に過ぎません。
その他様々なケースにおいて、カウンセリングは効果的に活用できますよ)
(^-^)
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!