今日は、信田さよ子先生の本、
『愛情という名の支配(新装版)』を紹介します。
本書より引用しながら、「共依存」の一つの側面である
「支配して逃がさない関係」についても書いていきます。
『愛情という名の支配(新装版)』は、
1998年(15年前)に刊行された同タイトルの本の新装版です。
信田先生は、当時のご自身の熱情や筆の勢いを残すために、
あえて加筆修正をせずに復刊されました。
15年前といえば、ちょうどアダルト・チルドレン(AC)という言葉が
一種のブームのように広がっていた頃です。
本書の旧版を読んでインパクトを受けた方が、
当時、多かっただろうなぁと思いました。
例えば、この箇所に。
「愛しすぎる女たち」は、「私がついていないとこの人は駄目なの」という、ちょっと弱々しくて、人の助けを必要としている男性を選びます。
そういう支配しやすい男性を夫に選んでおきながら、「私は男運が悪くて苦労ばっかり」と嘆くのです。
「私がいないとあの人は駄目になる」という感覚は決して苦しいものではありません。
むしろそれは「私がいるからあの人は生きられる」ことなのです。
●信田さよ子著『愛情という名の支配(新装版)』
(海竜社/2013/P38)より引用
この傾向は女性だけではなくて、
「共依存」に持ち込みたがるような男性にも見られます。
不幸な相手や弱々しい相手を、愛情という名を借りて支配する。
そこには、「完全に支配できる相手だけが自分を捨てない」
という打算(または、信念)が存在しています。
相手を助けている素振りをしたり
愛情を注いでいるように見せかけたり、
また、実際に愛ある行動をとったりもしますが、
本音はというと……。
相手は、自分より幸福になってはいけない。
自分より強くなってもいけない。
悩みを解決して、自立されても困る。
なぜなら、自分の支配から逃げていってしまうから。
自分が支配できる「自分より下の存在」ではなくなってしまうから。
……これでは、支配する側も、される側も
常に相手の反応に振り回されて、
心安らげる状態からは程遠いんじゃないかなって思います。
本当の安らぎは、誰かを支配しなくても
自分を保てるようになることを目指した先にあるんじゃないかな。
『愛情という名の支配(新装版)』の構成は、
下記の通りとなっています。
第1章 愛情という名の支配
第2章 機能不全家族とアダルト・チルドレン
第3章 アルコール依存症の父と共依存の母とアダルト・チルドレン
第4章 アダルト・チルドレンからの回復
第5章 さようなら家族を縛る共依存
第6章 自分を苦しめる常識からの解放
現在、パートナーとの関係で
息の詰まるような思いをされている方にとっては、
現在の自分の状況を見つめたり、
今後の行動を決めたりするための
ヒントがたくさん得られる一冊だと思います。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!