あるがまま

カウンセリング&セラピー S-Breeze
(不安症専門☆愛知・岐阜・三重)

友だち地獄 ~「優しい関係」に支配された若者たち

最近、土井隆義さんの本、
友だち地獄 「空気を読む」世代のサバイバル
を読みました。

 


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『友だち地獄 「空気を読む」世代のサバイバル』は、
現在の若者たちが抱えている
人間関係のキツさと生きづらさを、
著者が鋭い視点で読み解いた本です。

 

文章がやや固く、
また、著者が第三者である若者の気持ちを
「こうである」と決め付け過ぎな印象も受けましたが、

多様な切り口からの解説には気づかされたことも多く、
私としては参考になりました。

 

本書では、若者の人間関係を語る上で
「優しい関係」というキーワードが度々出てきます。

 

これは、「心安らげる関係」という意味ではありません。

むしろ、その逆で、
たえず場の空気を読みながら、
友人との間に争点を作らないように
気を配り続ける関係のことを言います。

 

そこには、過剰に配慮し合う姿と、
互いの反感が表に出ないように、
本心を心の中に押し込め続ける重圧感が存在しています。

ありのままの自分を表出することが
とても難しい関係です。

 

いじめの現実が、そこにある場合でも、
それが表面化することを避けるために

「いじめ」ではなく「いじり」と呼べるような演出をしたり、
「笑い」(いじめる側も、いじめられる側も笑う)
によってごまかしたりしながら
「優しい関係」を維持しようとします。

 

なぜそこまで必死になって「優しい関係」を
維持しようとするのかというと、

それが自分の不確かで不安定な自己肯定感を守る
砦になっているからということです。

 

本書より、現在の若者の人間関係のキツさを読み取りながら、
「本当の自分は決して表に出してはいけないという、張り詰めた緊張感」
によって、いつも神経をすり減らしているのだとしたら、
しんどいだろうなぁと思いました。

 

私たちが子どもだった時代にも
側面としての「優しい関係」は存在していたと思いますが、
今ではもっと広い範囲で「優しい関係」が支配しているようです。

カウンセラーの立場としては、
昔と今の人間関係の違いなども、
しっかり学んでおかねばと改めて思いました。

 

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