今日は、林公一先生の本、
『境界性パーソナリティ障害 患者・家族を支えた実例集』
を紹介します。
読んだ感想や、境界性パーソナリティ障害の症状、
治療の中断、治療の枠組みについても書いていこうと思います。
本書は、境界性パーソナリティ障害の症例集です。
詳しい解説付きの症例が、30例も載っています。
症例は、「症状」「回復」「対応」「誤解」「展望」
の5つに分かりやすく分類(章分け)されています。
症例の内容がバラエティに富んでいるので、
境界性パーソナリティ障害の全体像がつかみやすい本です。
林先生の書かれた本は、どの本でもそう感じるのですが、
本書もすーっとストレスなく読むことができます。
一般の方が境界性パーソナリティ障害について
理解を深めるために読まれても分かりやすいし、
カウンセラーの勉強用としても優れた本だと思います。
さて、境界性パーソナリティ障害の症状としては、
★見捨てられ不安としがみつき
★自傷行為の繰り返し(そぶりを含めて)
★信頼と罵倒の繰り返し(理想化 ⇔ 脱価値化)
★感情の不安定さ
★自己破壊的行為
★感情の爆発(キレる、泣き叫ぶ)
★アイデンティティ障害
★対人操作性
★一過性の解離
……などが挙げられます。
感情の不安定さによって、
安定した人間関係を築くことが難しくなる病気ですが、
それが治療関係の中でも表れます。
人を信頼できない、ちょっとしたことで見捨てられた、突き放されたと感じる、といった、この病気の特徴が、治療の中断につながりやすいという宿命があるのです。
●林公一著『境界性パーソナリティ障害 患者・家族を支えた実例集』
(保健同人社/2007/P94)より引用
どんどんエスカレートしてくる患者さんの要求に、
応じ続けることは不可能です。
(結果的に、かえって傷つけてしまいます)
それに、境界性パーソナリティ障害の場合、
応じたり共感したりしているだけでは、
患者さんの普段の症状や行動を増長させるだけの関係に
なってしまいかねないので、
境界性パーソナリティ障害の治療者・援助者(カウンセラーなど)には
特別な専門性や経験、受け入れ体制などが必要なんじゃないかなと、
私は思います。
枠組み(できることとできないことの明確化)を設けて、
患者さんにそれを守ってもらいつつ、治療を続けてもらうこと。
様々な対人操作(行動化)を受けながらも、枠組みを貫き通せること。
患者さんの激しい行動化(罵倒、泣き叫び、暴れ、しがみつきなど)にも、
しっかり対応できる体制があること。
(入院も含めて)
治療者が、患者さんの持つ激しいエネルギーに飲み込まれないこと。
……など。
私が個人で最後まで対応するのは、正直難しいと思っています。
(初回の話を聴いたあと、専門家にリファーする形になると思います)
専門が違うとは言え、「自分はまだまだだな」と
思い知らされる部分でもあります。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!