2004年に出版された
『「脳と心の病」に効く薬』という本を読みました。
本書を読みながら2点気になった箇所がありましたので、
簡単な紹介と合わせて書いていきます。
※2015年6月現在では、中古本しか手に入らないようです。
本書では、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、気分安定薬などの
精神科/心療内科の領域の薬についてだけではなくて、
鎮痛薬や頭痛薬、筋弛緩薬、制吐薬、抗めまい薬などについても
取り上げられています。
それぞれの薬に関連する脳の働きや病気の症状、
薬の作用のメカニズムや副作用についてなどが、
図表入りで分かりやすく解説されていて、とても参考になりました。
とくに、精神科/心療内科の領域以外の薬についての記述が
私にとっては新鮮で、読んでよかったと思いました。
ただ、本書を読んでいて2点気になる箇所がありました。
その気になった箇所は……
1点目。
抗うつ薬の章で、神経伝達物質ノルアドレナリンに関しては、
「ノルアドレナリン=意欲にかかわる物質」とだけ述べられています。(P101)
また、「ノルアドレナリンとセロトニンの作用」を示す図(P103)には、
ノルアドレナリンが多くなるほど「多幸的にハイ」「攻撃的にハイ」
になると書かれています。
それを読んで、私がなぜ気になったのかと言いますと……
ノルアドレナリンの過剰分泌がもたらす交感神経の過活動や、
「不安」「恐怖」「怒り」などの感情との関連性については、
全く触れられていなかったからです。
※ただし、後に出てくる自律神経作用薬の章には、
ノルアドレナリンと交感神経の関連性は述べられていました。(P174)
そして、2点目。
「統合失調症の症状」を示す表(P121)の「陰性症状の原因」の項目に、
「脳内のセロトニンの過剰活動との見方あり」と書かれていますが、
そこにも違和感を感じました。
※統合失調症の陰性症状:感情が乏しくなる、表情が平板になるなど
なぜなら、「ドーパミンの不足・欠乏」について
触れられていなかったからです。
※ただし、ドーパミンの不足・欠乏とパーキンソン病の関連については、
後のページで述べられていました。(P128、P132-136)
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上に書いた2点は、あくまで私の意見であり、
本書の記載が不適切であるという意味ではありません。
「どの側面から見ているか」の違いなのかもしれません。
それに、そもそも脳や心の分野は、
100%全てが解明されているわけではありません。
今回の気になったことをきっかけに、
これからも、もっともっと広い視野を持って学んでいかねばと
改めて思いました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!