今日は、姫井昭男先生の本、
『精神科の薬がわかる本』を紹介します。
本書より引用しながら、
抗不安薬の2つある分類(※)についても書いていきます。
※「ベンゾジアゼピン系」と「非ベンゾジアゼピン系」の違い
この本は、2014年12月に出版された「第3版」が最新(2015年6月現在)ですが、
実は私が持っているのは「第2版」です。
最近久し振りに読み返して、薬について復習しましたので、
この機会に紹介することにしました。
※本記事の内容は「第2版」からのものになります。
『精神科の薬がわかる本』は、
薬についての内容がぎゅっと凝縮された本です。
全215ページというそれほど厚くない本の中に、
・抗うつ薬
・睡眠薬
・抗精神病薬
・抗不安薬
・老年期に使う薬
・気分安定薬
・抗てんかん薬
・抗躁薬
・抗酒薬
・発達障害を持つ人への薬物療法
という10の領域の薬について、分かりやすく解説されています。
※抗精神病薬に関する記述が、一番充実しています。
それぞれの領域において、
・症状について
・薬の種類について
・薬の作用のメカニズムについて
・副作用について
・薬の選択の注意点及びアルゴリズム(フローチャート)
などが、図解入りで解説されていますので、
精神科で用いられる薬の全体像をざっと知るのにいい本です。
ざっとと言いましても、専門性はきちんと確保されていますので、
カウンセラーの学習用としてもちょうどいい本だと思います。
さて、抗不安薬の分類について。
主流は「ベンゾジアゼピン系」で、
現在処方されている抗不安薬の大部分が、こちらのタイプになります。
※短時間型:クロチアゼパム(リーゼ)、エチゾラム(デパス)など
※中間型:アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス)、
ロラゼパム(ワイパックス)、ブロマゼパム(レキソタン)
※長時間型:クロナゼパム(リボトリール、ランドセン)、
クロキサゾラム(セパゾン)など
※超長時間型:ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)、
フルトプラゼパム(レスタス)など
そしてもう1つは、「非ベンゾジアゼピン系」です。
※クエン酸タンドスピロン(セディール)
「ベンゾジアゼピン系」と「非ベンゾジアゼピン系」の抗不安薬。
どのように使い分けされているのかについての記述が、
『精神科の薬がわかる本』にありました。
不安に関する神経伝達機構は2つありますが、
それについて書かれています。
1つは神経に過大な負荷(ストレス)がかかり、興奮性神経系と抑制性神経系のバランスが崩れ、「興奮性神経系が勝っている状態」となったために生じる不安です。
こうした不安には、興奮した神経を鎮めるはたらきをもつベンゾジアゼピン系の抗不安薬を処方します。
2つ目は、「不安を制御する生理機能をもつセロトニン系神経が機能低下を起こしたこと」により起こる不安です。
こうした不安に、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬を用いると、効果が出ずに抑制ばかりがかかり、だるさや眠気ばかりが目立つことになります。
そこで、セロトニン系が関与した不安には、非ベンゾジアゼピン系として分類される、アザピロン系のクエン酸タンドスピロン(セディール)を投与します。
●姫井昭男著『精神科の薬がわかる本(第2版)』
(医学書院/2008/P186)より引用
「ベンゾジアゼピン系」抗不安薬は、「興奮性神経系が勝っている状態」
(神経伝達物質GABAが関与)のときに使用。
「非ベンゾジアゼピン系」は、セロトニン系の機能低下のときに使用。
同じ「不安」でも、関与する神経伝達物質が異なっていて、
それによって使い分けているのですね。
とはいえ、外部からどちらの神経伝達物質が
関与しているのかは分かりにくいので、
「患者さんの症状が興奮性であるかどうか」というのが
1つの判断基準のようです。
他には、医師の方針やこれまでの治療の経過なども、
どちらを使うのかの選択に関係してくると思います。
※「ベンゾジアゼピン系」抗不安薬は種類が多いので、
その中からどれを処方するのかも重要な選択のポイントです。
今日は、久し振りに薬について書きました。
クライエントさんから薬に関する質問をいただくこと、
実は結構多いです。
ですので、これからも薬に関する学びと復習、
しっかり行っていきたいと思います。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!