今日は、松本桂樹さんの本、
『新版 電車に乗れない人たち』を紹介します。
副題として「大丈夫、パニック障害は治るよ!」という
優しくて勇気づけられるようなタイトルが付けられています。
本書は、パニック発作の症状の正体を解き明かし、
その原因と回復方法について解説されている本です。
電車内での発作、運転時信号待ちでの発作、
会議の席での発作、エレベーター内での発作など
事例が数多く載せられているのが特徴です。
どのように発症して、どのように発作の数が
増えていったのかの記述が、とても参考になります。
例えば、この箇所。
たとえば、里子さん(仮名)は、会社から帰る途中の電車の中で、自分と同じくらいの年ごろの女性が具合を悪くして、嘔吐してしまった様子を目撃したことが原因で、症状を起こすようになりました。
●松本桂樹著『新版 電車に乗れない人たち』(WAVE出版/2012/P17)より引用
人の嘔吐している様子を見て、
「自分も嘔吐してしまったらどうしよう」と不安になったことが、
自分の発作につながったのですね。
確かに、元々吐き気を覚えやすくて、不安になりやすい人にとっては、
人の嘔吐する様子が強烈なインパクトとなって(自分と重ねながら)
頭に焼き付いたとしても不思議ではありません。
パニック障害では、「不安」と「発作」が相乗的に増幅したり、
逆に「不安」を減らすことによって「発作」が起こりにくくなったりします。
「不安」を減らすという点では、
社会不安障害への取り組みとの共通点も多いです。
「予期不安」や「回避行動」などの症状も共通しています。
そもそもパニック障害と社会不安障害は併発しやすい病気なので、
私としては、どちらもしっかり対応していきたいと考えています。
『新版 電車に乗れない人たち』では、
精神科医やカウンセラーと一緒に、
どのように回復に向けて取り組んでいくのかが
分かりやすく説明されています。
(各種心理療法の説明は、比較的シンプルなものになっています)
自分でできる、「不安」や「恐怖」を和らげる手法についても
解説されています。(TFT・FAP・丹田呼吸法)
パニック発作を起こしやすいかどうかの心理テストもついており、
盛りだくさんの内容となっている本です。
現在、「ワケのわからない発作」によって悩まされている方にとっては、
発作の正体を理解できる本であり、
現在、パニック発作を自覚しながら悩まれている方にとっては、
自分と同じ症例を見つけたり、
回復へのプロセスを学んだりできる一冊です。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!