今日は、『DSM-5 精神疾患診断のエッセンス』
という本を紹介します。
本書より引用しながら、
全般性不安障害の診断(カウンセラーの場合は見立て)の
注意点についても書いていきます。
『DSM-5 精神疾患診断のエッセンス』は、
精神疾患の診断基準の代表的なものの一つであるDSM-5を
上手に活用するためのヒントが詰め込まれた本です。
著者は、過去にDSM-Ⅲ、DSM-Ⅲ-R、DSM-Ⅳ(DSMの過去バージョン)の
作成に関わったアレン・フランセス先生。
翻訳には、大野裕先生も参加されています。
DSMのお供として活用するための本だけあって、
DSMに記載の精神疾患が一通り記載されています。
記載の精神疾患を大きく分類すると、以下のようになります。
(2章以降の章のタイトルを並べました)
★一般に小児期または青年期に最初に診断される疾患
★抑うつ障害群
★双極性障害群
★不安障害/不安症群
★強迫性障害/強迫症および関連障害/関連症群
★心的外傷およびストレス因関連障害群
★統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害群
★物質関連障害および嗜癖性障害群
★神経認知障害群
★パーソナリティ障害群
★衝動制御症群
★摂食障害群
★睡眠・覚醒障害群
★性と性別に関する問題
★身体症状と関連のある障害群
★解離性障害/解離症群
★臨床的関与の対象となることのある状態(ただし精神疾患ではないもの)
各疾患ごとに割り当てられている文章量は
決して多くはありませんが、
参考になる記述が凝縮されています。
★スクリーニング(ふるい分け)のための質問例
★その診断が当てはまる典型例
★症状が似ているけれど違う、診断から除外すべき疾患名や状態
★診断のコツ
★DSM-5を読み解く上での注意点
など、各疾患ごとに解説されています。
パラパラとめくりながら眺めているだけでも
とても勉強になります。
精神疾患の全体像が見渡せますし、
巻末に索引が付いているので、辞書的な使い方もできます。
一冊持っていると、何かと役に立つ本です。
ここで、『DSM-5 精神疾患診断のエッセンス』に記載の
全般性不安障害の「診断のコツ」より1点ポイントを引用します。
心配が他の状態によって引き起こされていないことを確認する。
鑑別診断の長いリストに含まれる可能性のあるすべてを注意深く考察する。
全般性不安障害は検討の最後にくる診断でなくてはならない。
つまり、他のすべてが除外された後にのみ使える残遺診断である。
●アレン・フランセス著『DSM-5 精神疾患診断のエッセンス』
(金剛出版/2014/P93~94)より引用
心配(や不安など)には、障害とはいえないレベルの
正常な機能としての心配もあれば、短期的な心配もあります。
甲状腺機能亢進症などの医学的疾患により生じる心配もあれば、
薬やその他物質などによって引き起こされる心配もあります。
カウンセラーとしては、
安易な判断はしないということが大事ですね。
引用文の中の
「検討の最後にくる診断でなくてはならない」
という部分が印象に残りました。
診断(カウンセラーの場合は見立て)は、
それ以降の方針や対応に大きく影響してきますので、
過剰診断(過剰な見立て)にならないように
注意する必要があります。
そのためにも、心理カウンセラーには
精神医学の知識は必須だと思います。
精神医学はすごく奥の深い世界ですし
日々進化している世界でもあります。
学ぶべきことは山ほどありますので、
これからもずっと学び続けていきます。
(とはいえ、精神医学が全てではないという視点も
忘れないでいようと思います)
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今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!