水島広子先生の本、
『正しく知る不安障害』を久しぶりに読み返しました。
この本は、自らの不安傾向が気になる方、不安障害の方、
身近に不安の強い人のいる方向けに書かれた本です。
不安障害の症状についてや不安との付き合い方など、
分かりやすくまとめられています。
本書の中で、「自己志向」と「損害回避」について
取り上げられていました。
「自己志向」とは、自分への信頼感、
自分のやり方への信頼感のことをいいます。
「損害回避」とは、困ったことにならないように
物事を避ける傾向のことをいいます。
不安障害の方(以前の私も含めて)には、
「損害回避」の高い傾向があります。
私も以前は、不安を感じる状況はたくさん回避してきました。
「うまくやらなければ許されない、バカにされる」
という気持ちに支配されていました。
※私は、社会不安障害卒業生です(プロフィール参照)
本書では、「自己志向」を高めることで、
「損害回避」の高さをうまく生かすということに着目しています。
「損害回避」が高くても、「自己志向」も同時に高ければ、よい意味で慎重な人になります。
慎重さや几帳面さは美徳とも言えるものです。
自分の慎重さが好きだという人や、自分の几帳面さは長所だと思っている人は、「損害回避」という、もって生まれた特徴をよく受け入れて生かしていると言えます。
●水島広子著『正しく知る不安障害』(技術評論社/2010/P27)より引用
「損害回避」の傾向を長所だと捉え、受け入れて、うまく生かす。
例えば私の場合、「損害回避」の傾向が、
機械設計(※)という細かくてミスの許されない仕事にとても役立っています。
※カウンセラーを目指す前から、ずっとやっている仕事です。
何度も見直し、何度も計算し、修正を重ねながらいいものを作り上げていく。
もし私の「損害回避」の傾向が弱かったなら、
今よりもミスが多かったかもしれません。
私の場合を例として上げましたが、
あなたにも「損害回避」の傾向の強さが
もたらしてくれている長所は必ずあります。
一度振り返ってみて、紙に書き出してみると、
新しい発見があるかもしれません。
そういった小さな取り組みが、
「自己志向」を育てることに少しずつつながっていきますので、
ぜひやってみてください。
(自分自身のことを厳しすぎる目で見ないように!)
本書には「損害回避」が高く、
「自己志向」の低い人の場合についても書かれていました。
自らの「損害回避」が知らせてくれる不安に対して、「こんなに不安でどうしよう」とパニックになってしまうのです。
すると、本来は自らの特徴に過ぎない「損害回避」に、人生を振り回されるようになってしまいます。
やりたいか、やりたくないか、ではなく、不安を基準にして物事を決めるようになってしまい、自分の人生がかなり制限されて感じます。
●水島広子著『正しく知る不安障害』(技術評論社/2010/P27)より引用
「やりたいか、やりたくないかではなくて、
不安を基準にして物事を決めるようになってしまう」
以前の私のようです。
大勢の前で発表する役割などは、
極力避けていた時期がありました。
こういった不安に振り回されている状態でも、
「自己志向」を高めていくことによって、
不安に振り回されずに生かせるようになることができます。
「自己志向」を高めていくこと。
「損害回避」を受け入れて、うまく生かすこと。
不安障害を克服する上での、重要なテーマです。
このあたりの具体的な取り組み方につきましては、
私が講師を務める『あるがままグループレッスン』でも
お伝えし、実際にワークを行っていただいております。
『あるがままグループレッスン』に興味のある方は、
こちらのページをご確認ください。
最後に再び……
「損害回避」(几帳面さ慎重さ)がもたらす長所。
ご自分の中に探してみてくださいね。
あなたが想像している以上に、たくさん見つけられるかもしれません。
(たとえ小さなことでも、大事な長所です)
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!