今日は、水島広子先生の本
『対人関係療法でなおす気分変調性障害』
を紹介します。
気分変調性障害の方が陥りやすい
対人関係のパターンについても書いていきます。
気分変調性障害は、「慢性のうつ病」の一種です。
持続性抑うつ障害とも呼ばれています。
※大うつ病が慢性化したものとは異なりますが、
抗うつ薬が効果を示すという点では共通しています。
「憂うつな気分がほとんど一日中存在し、
少なくとも二年間続いている」
というのが診断基準のひとつのポイントです。
※憂うつな気分のない日があったとしても、
憂うつな気分のある日のほうが多いです。
他にも、自尊心の低下や絶望感などの症状が
見られる病気です。
『対人関係療法でなおす気分変調性障害』には、
気分変調性障害の方が陥りやすい対人関係について
詳しく解説されています。
★上手く思いを伝えられなくて、
損な役割ばかりを引き受けることになってしまう。
★自分の責任ではないものまで
自分の責任として引き受けてしまう。
★相手が非現実的な要求をしている場合でも、
「期待に応えられない自分が悪い」と感じてしまう。
★「嫌なことは嫌」「無理なものは無理」
と伝えるのがとても苦手。
★上手く思いを伝えることのできない自分のことを
どこまでも責めてしまう。
気分変調性障害の方は、
上のような対人関係パターンに陥りやすいのですが、
そうなる原因が自分の「人間としての欠陥」にあると
思い込んでしまうことが多いようです。
本書では、上のような対人関係のパターンに対して、
「全ては病気の症状です」と何度も繰り返されています。
※自分の「人間としての欠陥」のせいだと
思い込んでしまうことも病気の症状です。
水島先生が、対人関係療法を用いて治療する際に
徹底的に大事にされている部分です。
(「これは病気の症状だから、あなたが悪いんじゃないですよ」と)
本書には、対人関係を通して不調に陥っている方が
気付きや工夫、練習などを通して
少しずつ相手とのやりとりのパターンを改善していき、
だんだんと「自分の思いを伝える」ことが
できるようになっていった事例がいくつも載せられています。
相手に自分の思いを上手く伝えられない方にとっては
寄り添いながら優しく気付かせてくれて、
どうしたらよいかを教えてくれる、
頼りになる一冊だと思います。
気分変調性障害は、
病気として診断・認識されないことも多いので、
上に書いたような対人関係でお悩みの方には
病名にとらわれずに本書をお勧めしたいと思いました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!