あるがまま

カウンセリング&セラピー S-Breeze
(不安症専門☆愛知・岐阜・三重)

「心因性」「内因性」「外因性」と不安障害

今日は『精神医学ハンドブック』という本を
久し振りに読み返しました。

そこで今日の記事では、その本の簡単な紹介を兼ねて
精神疾患の分類の1つである
「心因性」「内因性」「外因性」という分け方について
書いていこうと思います。

 

不安障害がどれに相当するかということについても
書いていきますね。

 

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今では精神疾患の診断には

・DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)または
・ICD(精神および行動の障害-臨床記述と診断ガイドライン)

という診断基準が主に用いられていますが、
以前は「心因性」「内因性」「外因性(器質性を含む)」
という分類が主に用いられていました。

 

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その分類の意味を簡単にまとめます。

★心因性:社会的・心理的な要因(ストレス、性格)などが
原因とみられるもの。

★内因性:原因ははっきりしないが、
遺伝・体質的な要因(脳内の神経伝達物質の異常)が原因とみられるもの。

★外因性:身体の損傷や病気、中毒などが原因とみられるもの。

★器質性:脳・神経機能の損傷や病気、中毒による影響などが
原因とみられるもの。外因性に含まれる。

 

さて、不安障害(以前は神経症と呼ばれていた)は
どれに分類されるかといいますと……

主に「心因性」とされています。

 

そうか、「心因性」ということは
ストレスや性格などが原因とされているのか!

……と、考えればいいのかというと
実はそうではなくて……

 

”主に「心因性」”の
「主」という部分に注目してください。

”「主」に心因性”ですから、
「主」ではない「内因性」や「外因性」の可能性も
そこには含まれています。

 

実際、不安障害の治療にも
SSRIなどの抗うつ薬が用いられていますよね。

※SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、
脳内の神経伝達物質の異常の改善(つまり、内因性の疾患の改善)
をねらう薬です。

※ただし、神経伝達物質の異常(内因性)には、
心因性の影響もあると考えられています。

 

主に「心因性」とされている不安障害に、
「内因性」の薬が使われているということになります。

また、不安症状には
身体の疾患が原因となるもの(外因性のもの)や
アルコールやコカインなどの中毒性の物質が
原因となるもの(外因性のもの)もあります。

 

結局のところ、
「精神疾患は簡単に3つに分類できるものではない」
ということなのだと思います。(私見)

「不安障害は心因性」とは言い切れないように、
あいまいさが常に付きまとっています。

患者さん(クライエントさん)お一人お一人によって
原因の組み合わせは違うのだと思います。

 

ここでようやく本の紹介をしたいと思いますが……

『精神医学ハンドブック』には、
「心因性」「内因性」「器質性(外因性)」の分類について、
上に書いた「あいまいさ」が考慮されながら
詳しく解説されています。

 

DSMやICDが主流となった今では
「心因性」「内因性」「器質性(外因性)」の分類について
ここまで深く書かれている本は貴重な存在だと思います。

私が持っている600冊以上の心理学/精神医学の本の中では、
この本がダントツで詳しく(3つの分類について)書かれています。

 

DSMやICDだけにとらわれず、
理解を深めるのに役立つ本です。

一冊にたくさんの精神疾患についてが詰め込まれている本なので、
他の専門書と合わせて読むほうが理解しやすいとは思います。

 

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