星野仁彦先生と、漫画家のさかもと未明さんの本、
『まさか発達障害だったなんて』
を読みました。
本書は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と
AS(アスペルガー症候群)の混合という診断を受けた
さかもと未明さんご自身の、子どもの頃からの体験談と
星野先生による発達障害に関する解説が
交互に書かれている本です。
症状や治療法だけが解説されている専門書とは異なり、
さかもと未明さんの辛かった体験談を通して
発達障害の一つの現実を知ることができます。
未明さんの場合は、発達障害だけではなく
機能不全家族の子どもとしての問題も
抱えておられたとのこと。
子どもの頃から適切な支援を受けることが
できなかったようです。
未明さんの父親は
アルコール性認知症を伴ったアルコール依存症で、
日常的に、母に暴力を振るっていました。
しかも、未明さんがやっとの思いで話した大切なことも
すぐに忘れてしまう……。
母は、未明さんと同じく発達障害。
自分が病気であることを認めたくない母は、
娘が精神科に行こうとするのを
「甘えだ」「恥だ」と言って阻止してしまう。
未明さんの辛さには全く共感を示してくれない……。
未明さん、ほんと辛かっただろうなぁと思います。
未明さんは発達障害だけではなくて
過食と拒食の繰り返し、うつ状態、
買い物依存、アルコール依存などにも悩まされてきました。
書籍『まさか発達障害だったなんて』には、
欲しかった支援が得られずに苦しんできた未明さんの姿や
それでも何とか乗り越えてきた未明さんの強さが描かれています。
もし、子どもの頃の私が
未明さんと同じ環境・状態に身を置いたとしたら、
未明さんよりもっともっと心をボロボロにしていたかもしれない。
そう考えながら、本書を読みました。
未明さんは、辛い症状や環境などに悩まされてきたにも関わらず、
漫画、エッセイ、TVの仕事、写真集など
短期間に色々なことを達成しておられます。
その部分について星野先生は、以下のように言っておられます。
「発達障害がある人は、磨かれていない原石である」―――私はそう考えています。
●星野仁彦・さかもと未明著『まさか発達障害だったなんて』
(PHP新書/2014/P218)より引用
「発達障害がある人は、磨かれていない原石」
果てしない可能性を感じさせられる言葉ですね。
本書(P219)によると、
ベートーヴェンやモーツァルト、エジソン、アインシュタイン、
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ピカソ、ダリなどの偉人たちも
発達障害のある天才の典型だそうです。
すごいメンバーですよね。
発達障害の方は、自分に適した職に就くことで
大活躍できる可能性を秘めています。
それができるかどうかは
発達障害の程度や合併症・併発症の有無などが関係していますが、
適切な支援を受けられるかどうかも大きな要素です。
発達障害の方、お一人お一人が
子どもの頃から適切な支援を受けられること。
そして、大人になったら
ご自分に合った居場所(職など)を見つけて
能力を活かしながら、その人らしく輝けること。
そういった事例や輪が、どんどん広がっていくといいなと
本書を読んで思いました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!