小早川明子先生の本、
『「ストーカー」は何を考えているか』を読みました。
本書は、ストーカー行為が
大きな事件にまで発展した事例が多数載っている
内容の重たい本です。
ストーカーの心理についてや
著者がどのようにカウンセリングを進めているのか
についても詳しく解説されています。
DV被害者やストーカー被害者のカウンセリングでは
カウンセラーはただ話を聴くだけではなく、
被害者の危険回避や加害者の犯罪抑止など、
カウンセリングを進めている間にも起こりうる
加害行為が起きないように配慮する必要があります。
※カウンセラーのスタイルにも寄りますが、
話をじっくり聴く以前にやるべきことがあるケースは多々あります。
著者の小早川先生の場合は
被害者、加害者の間に入り、
両者とそれぞれ直接面接しておられます。
とくに加害者とは
加害行為の根っこにある心の問題が解消されるまで
継続的に関わっておられます。
これは並大抵のことではないと思います。
被害者、加害者の両者と関わることで
かえって問題をこじらせる可能性もありますし、
何よりカウンセラー自身が自らを危険に晒すことにもなります。
通常のカウンセリング関係の枠を越えた介入。
そこまでしなくては本当の解決にはならないということを
味わってこられた先生だからこその選択なのですね、きっと。
私としては、専門外とはいえ
自分にはそこまでできないなと思いました。
そして、そういった状態の中に身を置き続けられる
小早川先生の強さ、たくましさ、信念がすごいと思いました。
ここで、私が印象的に感じた
「加害者と向き合う手順」の中の第8ステップを引用します。
※引用文は、あくまで加害者に向けての内容です。
⑧感情は、所有者である自分自身に処理する責任があることを徹底理解させる。
相手に感情処理の責任を持たせようとする立場から降りるのを待つ。
●小早川明子著『「ストーカー」は何を考えているか』
(新潮新書/2014/P163)より引用
DVやストーカー行為の加害者に限った話ではありませんが、
元々得体の知れない抑圧された怒りを
持っている(自覚はなくても)人が、
湧き上がってくる怒りに理由付けをするために
ちょうど起こった不愉快な出来事の相手に
怒りの責任のほとんど全てを
無意識のうちに被せてしまう場合もあると思います。
※それだけ傷ついた状態であるとも言えます。
※無意識に、怒りの対象を転々と探してしまうケースもあります。
例えば、元々持っていた怒り=【8】
不愉快な出来事の相手に対する怒り=【2】
だとしても、
不愉快な出来事の相手に
【8】+【2】=【10】の怒りの責任のほとんどを
被せてしまう場合もあると思います。
※実はカウンセラーは、
感情転移によってそれを受けやすい立場です。
※現実離れした理想化の後に、
怒りへと変化するケースもあります。
そういった場合に⑧(引用文)の姿勢が重要になりますが
それを怒っている本人にそのまま指摘しても
逆効果になりやすいです。
「理解させる」というよりは、
その怒っている人の心の声を聴くということから
始めるべきなのでしょう……。
※もちろん、怒りを受けたのがカウンセラーの場合は、
カウンセラー自身が振り返りや反省を
しっかり行う必要もあると思います。
(忘れてはいけない、私自身への言葉です)
怒りに身を震わせながら攻撃的に罵倒してくる人に対して、
それを受け止めながら、心の声をじっくり聴いていく……。
文章に書くことは簡単でも
実際にはとても難しいことです。
自分の引き受けられる範囲には限度がありますが、
引き受けられると判断した範囲内においては
(カウンセラーとして)しっかりやれるように、
自分を磨いていかなくてはと思いました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!