認知行動療法(CBT)は、
エビデンス(科学的根拠・証拠)がしっかりとある
確立された心理療法ですが、
現在も発展の過程にあります。
その一つの方向は、
「ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)」
(マインドフルネス)への発展。
そしてもう一つの方向は、
今日紹介する「スキーマ療法」への発展です。
認知行動療法では、
自動思考レベルでは機能的になることができたケースでも、
スキーマ(中核信念)レベルが
非機能的なままで残ってしまうことがあります。
その場合に、認知行動療法から
そのまま移行して取り組めるのが、
認知行動療法を発展させて
より深い問題に対応できるようにした「スキーマ療法」です。
認知行動療法では、
現在の悩みや症状に関連する範囲でのみ、
クライエントさんの過去の体験・出来事をとり上げます。
それに対して、スキーマ療法では、
クライエントさんの幼少期からの体験・出来事を
クライエントさんが話せる範囲で徹底的にとり上げて、
時間(日数・期間)をかけてヒアリングします。
そして、精神分析理論、愛着理論、ゲシュタルト療法など
他の理論や療法を組み合わせながら、
統合的にアプローチします。
なので、スキーマ療法には、長めの期間がかかります。
通常の認知行動療法では、
10~30回程度のセッションで終了することが多いのですが、
スキーマ療法では、100回以上かかることが
普通にあるようです。
期間にして、1~2年以上かかったりします。
それでも、スキーマ(中核信念)とじっくり向き合って
取り組んでいけるスキーマ療法は、
私は素晴らしい療法だと思っています。
例えば、自分のスキーマ(中核信念)と向き合わずに
5年、10年、15年……と、
心の症状やそれにまつわる問題に悩み続け、
経済的損失を抱え続けるよりは、
1~2年間(場合によっては、それ以上になりますが)
じっくりと取り組んで、回復の方向に進んだほうが
精神的にも、経済的にも、社会適応の面からしても
メリットが大きいように思います。
(たとえ、それなりの費用がかかったとしても)
まだまだ歴史の短いスキーマ療法ですが、
私は心の専門家として、
進化・発展にしっかりついていきたいと考えています。
認知行動療法やACTなどと合わせて、
学び続けていきます。
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↑伊藤先生の『スキーマ療法入門』です。
最後に、『スキーマ療法入門』という本を紹介します。
本書は、日本の「スキーマ療法」の第一人者である
伊藤絵美先生の著書です。
スキーマ療法の基本と事例が載せられています。
事例では、境界性パーソナリティ障害の
クライエントの例が記載されていますが、
スキーマ療法を進める過程において、
クライエントがどんどん変容していく様子が見て取れました。
そして、「凄い」と思いました。
本書を読んだことがきっかけで、
私はスキーマ療法を、本格的に学びたいと思いました。
伊藤先生の『スキーマ療法入門』。
本家のヤング博士の本『スキーマ療法』と
合わせて読むのがお勧めです。
(共に、治療者・援助者向けの本です)
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↑ こちらがヤング博士の『スキーマ療法』です。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!