今日は、伊藤絵美先生と丹野義彦先生が編著者の本、
『認知療法・認知行動療法 事例検討ワークショップ(1)』
を紹介します。
認知行動療法における「外在化」
(用紙に書き出すこと)についても書いていきます。
本書は、伊藤絵美先生が所長をしておられるCBTの機関、
「洗足ストレスコーピング・サポートオフィス」で行われた
認知行動療法(CBT)の事例検討ワークショップが
収録されている本です。
事例1:セルフモニタリングによる気づきをきっかけに
大きく面接が展開した事例
(社会恐怖、過敏性腸症候群)
事例2:侵入思考が現実化する不安に対して
認知再構成法を導入した事例
(軽うつ、不安障害)
事例3:認知再構成法と行動実験によって
症状が改善した事例
(うつ病)
事例4:軽度発達障害の成人男性と共に
継続的なアセスメントを展開している事例
(軽度発達障害)
……の、4つの事例のワークショップが
収録されています。
ワークショップでは、伊藤先生の機関で行われている
最先端の認知行動療法のセッション(事例)について
非常にきめ細かく検討しておられます。
(セッションの進め方や構造化の方法が、
とても分かりやすく示されています)
読みながら、その場で学んだ参加者の方を
少々うらやましく感じると同時に、
書籍化してシェアしてくださったことを
ありがたく思いました。
ここで、事例3を発表された腰先生の振り返りのコメントより、
CBTにおける外在化の大切さについて
書かれているところを引用します。
本事例から学んだことはいろいろあります。
まずCBTの様々な段階において外在化することの大切さです。
問題を同定するときも、目標を設定するときも、それらを用紙に書き出して外在化しておいたので、面接の進行や各目標の達成の程度をクライエントと共有しやすく、終結時の話し合いもスムーズにできました。
●伊藤絵美、丹野義彦編著
『認知療法・認知行動療法 事例検討ワークショップ(1)』
(星和書店/2008/P174-175)より引用
CBTのセッションでは、
認知再構成法(一般にはコラム法が多い)だけでなく、
アセスメントや問題の同定、目標設定、面接の進行(予定)、
達成度、不安階層表、問題解決技法など……(その他多数)、
ケースバイケースで適切な用紙(ツール)を用いて
外在化(書き出すこと)をします。
そして、外在化した情報などを
クライエントさんと共有しながらセッションを進めていきます。
クライエントさんにとっては、
セッションで行ったことを振り返りやすくなりますし、
「自分がどこにいて、どこを目指しているのか」についても
認識しやすくなります。
もちろん、各技法を用いる際には、外在化することにより
心の中を整理したり、新たな気づきが得られたり、
行動する際の支えになったりなどのメリットも
数多く得られます。
カウンセラー側の立場からすると、
CBTのセッションでは、ツールをたくさん使用することにより
通常のカウンセリング以上に
セッション前の準備やセッション後のまとめが大変になり、
時間もかかりますが……。
それでもやっぱり、「外在化」はとことん大事にしていきたいと
私は考えています。
「聴く」こととのバランスを取ることも大事ですね。
そのあたり、経験を重ねながら、
しっかり成長していきたいと思っています。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!