本人も家族も責められない ~「問題の外在化」について

今日は、森俊夫先生の本、
”問題行動の意味”にこだわるより”解決志向”で行こう
を紹介します。

本書で大きく採り上げられている
「問題の外在化」というテーマについても
書いていきます。

 

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『”問題行動の意味”にこだわるより”解決志向”で行こう』は、
厚みが5~6mmしかない薄い本です。(全79ページ)

クライエントさんの「問題」や「症状」を
どう捉えるかというテーマに絡めながら、
カウンセラーやセラピストの姿勢について触れられています。

(すごく大事な内容が凝縮されています)

 

短期療法(笑いを上手く活用する)の先生だからでしょうか、
親しみやすい話し口調や冗談が本全体に散りばめられていて、
とても楽しくテンポ良く読み進めることができました。

 

ここから本書で採り上げられている
「問題の外在化」と呼ばれる技法について書きますね。

これは、問題を本人の中から外へと取り出して
(本人と問題を切り離して)
本人とは別個の存在として取り扱うというものです。

 

例えば、不登校の原因を本人や親のせいにするのではなく
本人に取り付いた「なまけ虫」という
本人とは別個の存在のせいにします。

そして、本人と家族が一致団結して
「なまけ虫」の退治に取り組みます。

 

本人も家族も責められることがありません。

むしろ、関係が修復されて、
本人と家族の揉め事も激減していきます。

いい意味での家族の結びつきが強くなっていきます。

 

不登校という主訴のみでなく
家族関係も改善されていく点がいいですね。

 

今回紹介した「問題の外在化」は
家族療法や短期療法で用いられているものですが、
他の心理療法でも「外在化」はよく用いられます。

 

例えば、認知(行動)療法では、
自分の中にある思考や感情などを
用紙に書き出しながら整理していきます。

この用紙に書き出すという行為も
一つの「外在化」の形です。

 

また、今回紹介した例では
問題に「なまけ虫」という名前を付けていますが、

これは、自分の中にある
「もやもや」「ざわざわ」といった感覚(フェルトセンス)の存在を
認めて、感じ、ピッタリくる名前を付けてみるという
フォーカシングの技法と似ています。

 

フォーカシングでは、
その名前を付けた感覚(例えば「もやもやくん」)を
自分の中から取り出して、他の場所に置いておくという技法も用います。

(「クリアリング・ア・スペース」と言います)

これもまさに「外在化」の一つですね。

 

世には様々な心理療法がありますが、
それぞれがどこかでつながっています。

今回紹介した「外在化」もそうですし、
短期療法で使われる「ミラクルクエスチョン」や「例外探し」なども
認知行動療法でも用いられます。

 

そもそも認知行動療法の一つの柱として
「問題解決技法」というものがありますが、

短期療法(問題解決志向)は丸ごとすっぽり
その枠の中に収めることができます。

 

一見、自分の専門外と思われる心理療法を学ぶことが
自分の専門領域の理解を深めてくれることはよくあることですね。

これからも、広く、深く、学び続けていきます。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!