今日は、中島美鈴先生の認知療法のワークブック
『私らしさよ、こんにちは』を紹介します。
本書に記載の「ひらきなおりテクニック」という
マイナス感情を受け入れやすくするための
ワークについても書いていきます。
『私らしさよ、こんにちは』の副題は、
「5日間の新しい集団認知行動療法ワークブック」。
コンセプトとしては、
「自尊心をとりもどすためのプログラム」
となっています。
副題には「集団認知行動療法」とありますが、
個人でも普通に使える本です。
内容的には……
★自分を大切にできない考え方を修正する
(認知再構成法 / コラム法)
★自分を大切にできない信念に気づく
(心理テスト)
★損得分析(メリット-デメリット分析)
……など、認知行動療法の中の
認知面に焦点を当てた内容となっています。
中島先生が書かれた書籍からは
ソフトタッチで優しい印象を受けることが多いのですが、
本書からもそのような印象を受けます。
それはきっと、中島先生の優しいお人柄が
反映されているのだと思います。
ここで本書より、
「ひらきなおりテクニック」というワークを紹介します。
これは、二人一組で行うワークです。
まず、相手に悪魔役になってもらい、
自分の欠点をつつくようなセリフを言ってもらいます。
(下に例があります)
※悪魔役に言ってもらうセリフは、
あらかじめ自分で紙に書き、相手に渡しておきます。
それに対して、自分はひらきなおり言葉で返事をします。
返事をする際は、自分が欠点だと思っていることの中の
「真実」のみを受け入れて、伝え返すのがポイントです。
自分が欠点だと思っていることの中の
「予想」はただの思い込みであって欠点ではないので
受け入れる必要はありません。
以下に例を示します。
★「予想」を受け入れて、欠点をふくらませてしまった例
悪魔役:「おまえは欠点だらけの人間だ。おまえの本性を知ったらみんな逃げ出していくだろうよ。おまえは自己中心的でだらしなくてのろまな人間なんだ」
ハルカ:「そうです……私は欠点だらけの人間なのでいずれみんな私のもとから去っていくのよ」
●『私らしさよ、こんにちは 5日間の新しい集団認知行動療法ワークブック』
(星和書店/2009/P47)より引用
ハルカさんが言った「私のもとから去っていくのよ」は、
「真実」ではなくて「予想」です。
欠点を自分で大きくふくらませて
自分自身を圧迫しています。
★「真実」のみを認めて受け入れた例
悪魔役:「おまえは欠点だらけの人間だ。おまえの本性を知ったらみんな逃げ出して行くだろうよ。おまえは自己中心的でだらしなくてのろまな人間なんだ」
ハルカ:「そうです。私はいい人ぶっているけれど、実は自己中心的でだらしなく、のろまなんです。やらなければならないこともいいわけしてぐずぐずしています。ぐずぐずしてすぐにお風呂に入ろうとしないし、部屋の掃除なんて母親まかせなんです」
●『私らしさよ、こんにちは 5日間の新しい集団認知行動療法ワークブック』
(星和書店/2009/P47)より引用
ハルカさんは、(今まで見ないようにしてきた)欠点の中の
「真実」のみを認めて受け入れる返答をしています。
悪魔役が言った「みんな逃げ出して行くだろうよ」という
「予想」の部分については、受け入れていません。
※「予想」の部分は、受け入れる必要もありません。
このように、「真実」と「予想」を区別して
「真実」のみを認めて受け入れるようにすると、
自分の欠点(マイナス感情)を大きくふくらませなくてすみますし
欠点を受け入れやすくもなります。
欠点を受け入れることによって、
自分の気持ちが楽になってくると思います。
※開示することや外在化することなどの効果も
あると思います。
※受け入れることのメリットについては
→ こちら参照(過去のブログ記事)
※苦しくなってきた場合は無理をせずに
専門家にご相談ください。
なお、今日紹介した「ひらきなおりテクニック」のワークは、
悪魔と自分のセリフの両方を紙に書きながら
一人で取り組むこともできます。
これは、と思われた方は、やってみてください。
「ワークで練習」
↓
「考え方を定着させる」
↓
「真実と予想の区別を、普段から心がけられるようになる」
……の流れでどうぞ。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!