山上敏子先生の行動療法講義 ~良くなったと見るか、足りないと見るか

『山上敏子の行動療法講義 with 東大・下山研究室』
という本を読みました。

この本は、東京大学大学院・臨床心理学コースの
下山晴彦先生の研究室で開催された、
山上敏子先生の勉強会が収録されたものです。

 

受講生と先生お二人の質疑応答のやり取りなどを読みながら、
自分も勉強会に参加しているような気持ちになれる。

そんな読み応えのある本でした。

 

※記事の最後に、「今、克服・改善に向けて取り組んでおられる方へ」
というメッセージを載せています。

よろしければ読んでやってください。

 

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行動療法(認知行動療法)は、
不安障害の治療法としてよく活用されています。

私自身も、不安障害を克服(プロフィール参照)するときに、
行動療法的なこと(段階的曝露<段階的に苦手場面に挑む>など)は
行ってきましたし、クライエントさんに対しても
行動療法(認知行動療法)はケースバイケースで活用しています。

 

つまり、私にとって、とことん学んで熟知して
経験を積み重ねたい分野の1つです。

今回読んだ『山上敏子の行動療法講義 with 東大・下山研究室』には、
理論がどうこう以上に、実際のカウンセリングの現場でどう用いるか、
どんな心構えで取り組むかが詳しく書かれていました。

 

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本書は勉強会を収録した本なので、
全て話し言葉で書かれています。

だから、山上先生から直接指導を受けている感覚になれます。

 

実際に行動療法を活用している立場だからでしょうか。

山上先生の言葉の1つ1つが、自分の心に大きく響きました。

この本で学んだことは、
今後のセッションやグループワークで活かしていきます。

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ここで本書より、1ヶ所引用します。

脳障害による半身不随でリハビリを受けている
患者さんに関する話です。

 

内科主治医から見ると、予想よりも良い、かなりのところまで治っている、ということらしいのですが、これが、医療をする側の見方と患者の見方のギャップなんですね。

医療をする側から見ると、「これだけ良くなった」と悪いところからの差を見て思うのでしょうが、クライエントにとっては、反対のほうから、良かったとき、完全な回復から見ますから、症状が残っているとやはりだめなのですね。

いつもこのギャップがありますね。

●山上敏子・下山晴彦著『山上敏子の行動療法講義 with 東大・下山研究室』
(金剛出版/2010/P212)より引用

 

「これだけ良くなった」と見るか、
「まだまだ全然足りない」と見るか。

 

クライエントさんには、なるべく良くなった部分に目を向けていただいた方が、
改善への道筋が開きますので、私としましては、そうしていただけるよう
「良くなった」部分を心の中で強化できるような
働きかけ(支持)を心がけています。

 

そして同時に、「まだまだ全然足りない」の裏にある気持ちも
しっかり受け止めて共感することも大事だと考えています。

「これだけ良くなった」と「まだまだ全然足りない」のギャップ。

カウンセラーとしては、両方を大事にしていきたいですね。

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今、克服・改善に向けて取り組んでおられる方へ

もしあなたが、「まだまだ全然足りない」という部分ばかりに
心が向いているとしたら……

小さなことでも「良くなった部分」にも目を向けてみませんか。

 

探してみると、あまり意識していなかったところに
「良くなった部分」が隠れているかもしれません。

自分では気付けないことでも、
周囲の人には見えている「良くなった部分」もあるかもしれません。

 

ご自分が考えている以上に「良くなった部分」は、
きっとたくさんあることでしょう。

「良くなった部分」を見つけたら、
良くなったことを味わいながら(そこに確かにあることを感じながら)、
自分の取り組んできたことを褒めてあげてくださいね。

「良くなった部分」を、どんどん膨らませていきましょう。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!