認知療法トレーニング・ブック ~8匹のユガミンたち

竹田伸也先生の本、
『認知療法トレーニング・ブック』を読みました。

この本では、他の認知(行動)療法の本とは異なるアプローチとして、
「認知のゆがみ」のキャラクター化がされています。

 

「なるほど、そういう手もあるな~」と新鮮に感じました。

今日は本書の簡単な紹介と、
本書に出てくるキャラクターについて書いていきます。

 

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認知のゆがみのキャラクター化。

本書ではそのキャラクターの総称として「ユガミン」と呼んでいます。

 

「認知のゆがみ」だから「ユガミン」。

面白いですね。

 

では、「ユガミン」にはどんなキャラクターがいるか。

ここで本書の表紙より、引用します。

 

あなたと仲良しのユガミンは?

 

「シロクロン」

物事を「白か黒か」で割り切り、完璧を求めさせることが得意なユガミン

 

「フィルタン」

物事の悪い面ばかりが目につき、良い点やうまくいったことなど他のことを見えなくさせてしまうのが得意なユガミン

 

「ラベラー」

物事や人に「○○である」と否定的なラベルを貼り、一度貼ったらはがさないユガミン

 

「マグミニ」

自分の短所や失敗を実際より大げさに考えて、反対に自分の長所や成功を実際より小さく捉えることが得意なユガミン

 

「ベッキー」

自分や他者に対して「○○すべき」「○○でなければならない」と考えることが得意なユガミン

 

「ジーブン」

良くない出来事が起こると、自分に関係がないにも関わらず、自分のせいだと考えるのが得意なユガミン

 

「バンカー」

わずかな出来事を根拠に、あらゆる出来事が同じような結果になると一般化しすぎるのが得意なユガミン

 

「ジャンパー」

確かな理由もないのに、悲観的な思いつきを信じ込んでしまうことが得意なユガミン

●竹田伸也著『認知療法トレーニング・ブック』
(遠見書房/2012/表紙)より抜粋・引用

 

8匹のユガミンたちが出てきました。

「自分の中にはどのユガミンがいるか?」を考えてみると、
何か気づけることがあるかもしれません。

 

ちなみに私は、それぞれのユガミン(認知のゆがみ)のことを、
以下のように呼んでいます。

 

・シロクロン=全か無か思考

・フィルタン=部分的焦点づけ(心のフィルター)

・ラベラー=レッテル貼り

・マグミニ=過大解釈/過小評価

・ベッキー=べき思考

・ジーブン=自己関連づけ(個人化)

・バンカー=一般化のしすぎ

・ジャンパー=根拠のない決めつけ

 

正直に言いますと、認知のゆがみを一通り記憶して、
普段から活用している私にとっては、本書の方法では
「キャラクター名を覚える・変換する」という工程が増えるだけで、
キャラクターを使用するメリットが、あまり感じられませんでした。

※かえって複雑化してしまうように感じた。

 

ですので、私としては個人セッションにおいても、
集団認知行動療法においても、キャラクター化は採用しません。

ただし、今から初めて認知行動療法について学び、
実践される方にとっては、ありなのかもしれない。

 

例えば、実践者が自分の中にある「べき思考」に気づいたとき……。

「私の中にべき思考がある」というよりは、
「私の中にベッキーさんがいる」と言ったほうが、
親しみを持って認知のゆがみと向き合えるような気がします。

 

そのあたりの感じ方は人それぞれですが、
選択肢の一つとしてキャラクター化もありだなぁと思いました。

 

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ここで、『認知療法トレーニング・ブック』の
全体的な紹介を。

内容的には、認知再構成法(コラム法)、行動実験、リラクセーション法など
ベーシックな内容で、しっかり丁寧に解説されています。

 

認知(行動)療法について、他の書籍も読んでおられる方にとっては、
丁寧すぎてじれったく感じる部分もあるかもしれない。

※あるいは、その丁寧さが、
他の書籍では理解できなかった人の助けになるかもしれない。

 

私にとっては、クライエントさんへの説明の仕方という観点で読むと、
いくつか参考になりました。

 

『認知療法トレーニング・ブック』

まじめに書かれている反面、
読む人(活用する人)を選ぶ要素も感じられる本。

私としましては、
認知のゆがみをキャラクターとして覚えることがしっくりくる方に、
お勧めしたいと思いました。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!