氏原寛先生と藤田博康先生の本、
『ロールプレイによるカウンセリング訓練のかんどころ』
を読みました。
今日はその本の紹介・感想と、
ロールプレイについて思うことなどを書いていきます。
『ロールプレイによるカウンセリング訓練のかんどころ』には、
9つの設定のもとに行われたロールプレイの事例
(振り返りや指導含む)が収録されています。
※ロールプレイ:実際のカウンセリングの場面を
模擬的に演じながら行う(話し手役が設定の役を演じる)カウンセリング実習。
話し手役、聴き手役、観察者を取り決めて行います。
収録されている9つの設定は、以下の通りです。
1.離婚(男性 40代)
2.対人恐怖(男性 大学生)
3.離婚(女性 40代)
4.境界例(男性 20代)
5.過食(女性 高校生)
6.空の巣症候群(女性 40代後半)
7.発達障害傾向(男性 20代)
8.リストカット(男性 中学生)
9.夫婦問題(女性 40代)
本書の話し手役、聴き手役は、大学院の研修生。
指導者が、氏原先生と藤田先生です。
ロールプレイの各事例の後に
それぞれ討論(振り返り)が書かれていますが、
氏原先生と藤田先生のカラーの違いがはっきり出ていて
面白いなぁと思いました。
氏原先生の言葉からは、ベテランとしての重みと鋭さがありながら
決して上から目線になっていないご様子が伝わってきました。
研修生のスタンスに合わせて
「私もまだまだなんだよ」という部分も見せておられるので、
研修生は安心してロールプレイを行うことが
できたんじゃないかなと思います。
藤田先生のコメントについては
非常に細かく分析的、かつ的確だと私は感じました。
藤田先生は、ロールプレイを行った研修生の
悪い部分を指摘するよりも、
良い部分を取り上げてフィードバックしておられます。
研修生はやはり、ロールプレイを
行いやすかったんじゃないかなと思いました。
全体的に、氏原先生と藤田先生が
うまく役割のキャッチボールをしながら
研修生のやる気を伸ばしつつ、
内容もとても深いロールプレイになっています。
このお二人の先生から直接学べる研修生のことを
羨ましく感じるほどの内容でした。
さて、ロールプレイまたはライブ。
私は現時点で100回まではいきませんが、
50~60回以上は体験しています。
※ライブ:ロールプレイ同様のカウンセリング実習。
話し手役が設定の役を演じるロールプレイに対して、
ライブでは話し手役は現実の内容を話します。
感じるのは、実際のカウンセリングも難しいですが
それとは違った難しさがロールプレイ(またはライブ)には
あるということ。
指導者や参加者がもたらす雰囲気によって
話し手役、聴き手役が影響されてしまう部分もあると思います。
例えば、指導者や観察者役の中に
分析的かつ否定的で正論をかざしてばかりの人がいると
場の雰囲気が緊迫したものとなってしまいます。
そうなると、聴き手役の頭の中に
「いかに無難に済ませるか」や「ミスを追及されるのが嫌だなぁ」といった
話し手役の話とは関係のないことがよぎってしまいがちになります。
そして、聴き手役は当たり障りのない最小限の応答のみで
済ませてしまうかもしれません。
そのときの聴き手役の心は、話し手役の話に集中できていない
不一致(心と発言が)の状態になっています。
※心がカウンセリング・モードになっていない状態
※それはそれで、学びというか修行にはなりますが……。
せっかくの学びの場。
参加者が安心して自分を発揮できるような
雰囲気作りが大事ですね。
氏原先生と藤田先生が指導されている
ロールプレイの雰囲気なら、
研修生は伸び伸び自分を発揮して
どんどん伸びていくだろうなぁと感じました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!