水島広子先生の本
『対人関係療法でなおす うつ病』を読みました。
本書は、うつ病の治療を題材にしながら、
対人関係療法について詳しく解説された本です。
同シリーズ(対人関係療法でなおす ○○○)の他の本よりも
対人関係療法についての記述は多いです。
対人関係療法では、
以下の4つの問題領域の中の
1つか2つに焦点を当てて取り組んでいきます。
★悲哀
重要な人の死を十分に悲しめていない。
★役割をめぐる不一致
重要な人との不一致(相手への期待と実際のずれ)
★役割の変化
生活上の変化にうまく適応できていない。
★対人関係の欠如
上の3つのいずれにも当てはまらない。(=親しい関係がない)
『対人関係療法でなおす うつ病』には、
上の4つの問題領域において、
それぞれどのような考え方で取り組んでいけばいいのかが
解説されています。
その中の「役割をめぐる不一致」という
問題領域に関するテーマ、
『「ずれ」を広げてしまうコミュニケーション』を
ここで紹介します。
●「ずれ」を広げてしまうコミュニケーション
言葉を使わないコミュニケーション
間接的なコミュニケーション
自分の言いたいことは伝わっているという思い込み
相手の言いたいことはわかっているという思い込み
沈黙
●水島広子著『対人関係療法でなおす うつ病』
(創元社/2009/P94-96)より項目のみ抜粋・引用
★不満があるのに、相手に言葉で伝えずに
ため息をついたり睨んだりする。
(言葉を使わないコミュニケーション)
★直接的な言い方をせずに、
嫌みを言ったり回りくどい言い方をする。
(間接的なコミュニケーション)
★「分かっているはずなのに、どうして……」
(自分の言いたいことは伝わっているという思い込み)
★「私はあの人に嫌われている……」
(相手の言いたいことは分かっているという思い込み)
★怒りや不快を表現せずに、
コミュニケーションを打ち切ってしまう。
(沈黙)
いずれも、相手との「ずれ」を広げてしまう
コミュニケーションです。
「あの人は、全然分かってくれない……」
などと思わざるを得ない状況にいる場合でも、
もしかすると、
自分の方から相手にうまく伝えていないことが
「分かってくれない」原因である場合もあります。
全然理解してくれないと思っていた相手が、
「支えたい気持ちはあるけれど、
伝えてくれないからどうしていいか分からない」
と、悩んでいるケースもあると思います。
どちらが悪いということではなくて、
お互いの「ずれ」の問題ですね。
※ということは、「ずれ」を埋めていくための取り組みをしていけば、
関係が改善される可能性が大いにあるということです。
本記事で書いた「ずれ」の問題は、
「うつ病」や「対人関係療法」とは関係しない
日常の人間関係においても起こりうることですね。
私自身も気をつけていこうと思いました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!