今日は、『不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖』
という本を紹介します。
「曝露療法の、達成目標を設定する際に気をつける点」
というテーマについても書いていきます。
『不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖』は、
不安障害専門のカウンセラーであり
認知行動療法も用いる私にとっては、バイブル的な一冊です。
認知(行動)療法のセッションの
構造化や進め方についての記述は少ないですが、
段階的曝露などの行動療法の面の記述は充実しています。
同シリーズの本としては、
(1)パニック障害と広場恐怖
(2)社会恐怖
(3)強迫性障害とPTSD
……があります。
今日紹介の『不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖』には、
主に社会不安障害(SAD)の
症状や治療法などについて書かれています。
4つある章のうち、3つは治療者向けで、
1つは「患者さん向けマニュアル」となっています。
本書から「患者さん向けマニュアル」のみを抜粋した
『不安障害の認知行動療法〈2〉社会恐怖―患者さん向けマニュアル』
(リンクは、Amazon)という本も存在していますので、
症状に悩んでおられる方には、こちらの方をお勧めします。
ここから、
「曝露療法の、達成目標を設定する際に気をつける点」
について書いていきます。
※曝露療法:苦手とする場面や行動に何度も身をさらし、
不安感や恐怖感を克服していく療法
まずは、最終的に達成したい目標の設定について。
「地元の定食屋さんで、親友2人と、箸を使って定食が食べられるようにする」
といった目標のことです。
このような目標を設定する際に気をつける点は……
社会的目標を設定する際に気をつけるべき要点
・現実的な目標を立てること
・難しい、広範な、あるいは長期的な目標は、個別かつ具体的な目標に分けること
・不安をすっかり取り去ることを目標としないこと
●アンドリュース、クリーマー、クリーノ、ハント、ランプ、ペイジ共著
『不安障害の認知行動療法(2)社会恐怖』
(星和書店/2003/P124)より引用
現実的であり、個別かつ具体的であり、
不安をすっかり取り去ることを目標としないこと(現実的)
これは、自己啓発の分野で言われている
「SMARTの原則」と似ていますね。
S(Specific)…具体的である
(定食屋さん、親友2人、箸を使って、定食を食べる)
M(Measurable)…計測ができる(親友2人)
A(Agreed upon)…(取り組むことに)同意している
R(Realistic)…現実的である
T(Timely)…期日が明確(ここでは曝露の継続時間も含めます)
Tについては、臨機応変に設定すればいいと思いますが、
その他、S、M、A、Rについては、ほぼ共通していますね。
Mについては、「人の見ている前でサインする」など
数値化できない(計測できない)こともありますが、
この辺も臨機応変でいいと思います。
この「SMARTの原則」は、頭の片隅に入れておけば、
曝露療法以外の場面でも役に立つと思います。
※曝露療法の場合は、
「不安をすっかり取り去ることを目標としないこと」も大事です。
※不安が取れなくても、取り組むこと自体に価値や意味があります。
※但し、馴化して不安が小さくなるまで、曝露を繰り返す必要はあります。
※「不安」の中には、生きていく上で必要な「不安」もあります。
さて、上で例にあげた
「地元の定食屋さんで、親友2人と、箸を使って定食が食べられるようにする」
というような目標ですが、
実際に行動に移す前に、目標をいくつかの段階に分ける作業をします。
ここまで長くなりましたので、
その分ける作業については次回の記事で書きたいと思います。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!