今日は『こころを癒すノート トラウマの認知処理療法自習帳』
という本を紹介します。
この本は、トラウマ体験によって傷ついた心を癒すための、
認知処理療法のエッセンスが盛り込まれたワークが掲載されている本です。
各ワークは、1人でも取り組めるようになっています。
※本書は以前紹介した『こころが晴れるノート』(リンクは過去記事)
の姉妹編です。ただし、著者は異なります。
さて、本書で用いられている「認知処理療法」(CPT)。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)などトラウマを受けた方の
回復のための療法として、用いられているものです。
認知行動療法(CBT)がベースとなっています。
認知処理療法の特徴の1つとして、
「出来事の意味(自分にとっての意味)や気持ちをそのまま紙に書き出す」
があります。
『こころを癒すノート トラウマの認知処理療法自習帳』にも、
書き出すワークが組み込まれています。
「出来事の意味や気持ちを書き出すワーク」
そのステップは……
ステップ1 出来事の意味を書く
ステップ2 声に出して読む
ステップ3 体験をふり返る
ステップ4 ご褒美を与える
●伊藤正哉・樫村正美・堀越勝編
『こころを癒すノート トラウマの認知処理療法自習帳』
(創元社/2012/P35)より引用
トラウマで悩んでいる人にとって、
恐ろしい体験を思い出しながら紙に書いていくことは、
楽なことではありません。
その体験の記憶に触れることを回避してしまったとしても、
無理のないことだと思います。
それでも「書き出す」ワークが行われているのは、
そこに暴露療法(エクスポージャー)としての意味があるからです。
あえて、自分から立ち向かって、
恐ろしい記憶(自分の気持ちを含めて)に挑んでいくことに意味があります。
※取り組まれる方へ。
苦しいときは、1人で無理し過ぎないようにしてください。
ステップ2の「声に出して読む」ことも、
回避したい気持ちに打ち勝つために行います。
声に出して読むことにより、
出来事の意味への理解・整理が促進されるという効果も見込めます。
ステップ3の「体験をふり返る」では、
出来事への解釈を見つめ直したり、
自分を苦しめている考え方を見つけます。
ここで見つけた「自分を苦しめている非適応的な考え方」は、
後のワークで適応的な考え方に置き換えていきます。
そのプロセスは、認知行動療法と共通です。
そして、最後のステップ4。
「ご褒美を与える」
回避したい気持ちに打ち勝って、
取り組んだ自分のことを思いっきり褒めてあげます。
そして、食べたいものを食べたりなど自分にご褒美をあげて、
休憩します。
以上の流れで、「出来事の意味を考えよう」というワークが完了しますが、
必要に応じて何度も繰り返して取り組みます。
この記事では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など
トラウマを受けた方向けの内容として書きましたが……
以下の点については、
社会不安障害などで取り組む認知行動療法と共通していますね。
「回避したくなることに、あえて挑んでいく」
「体験をふり返り、考え方を見つめる」
「回避せずに行動した自分を褒めてあげる」
私が社会不安障害を克服したとき(プロフィール参照)にも、
これらのことは行ってきました。
今回、『こころを癒すノート トラウマの認知処理療法自習帳』を読み返して、
「紙に書く」ということの大切さを改めて学びましたが、
今後、有効な場面で活用していこうと思います。
※「紙に書く」ということには、「外在化」するという意味もあります。
紙に書くことによって、自分から少し離すことができ、
客観的に見つめられるようになります。
最後に、無理やりまとめます。
心の中に未解決な出来事が残ったままになっている場合は、
紙に出来事の意味(自分にとっての意味)と気持ちを書き出してみるのは、
心を整理していく上で、とてもいい方法だと思います。
ピンと来た方は、取り組んでみてください。
なお、書籍『こころを癒すノート トラウマの認知処理療法自習帳』には、
もっと詳しく解説されていますので、興味のある方は読んでみてください。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!