自立と孤独の心理学 ~不安(障害)と愛着行動

加藤諦三先生の本、
『新版 自立と孤独の心理学』を読みました。

この本は、ボウルビィの愛着(アタッチメント)理論に準じながら
「不安と愛着行動」をテーマに解説されている本です。

 

専門的になりすぎずに分かりやすく書かれていますので、
内容が充実している割には、比較的気軽に読める本だと思います。

(愛着理論の本は、難しめな専門書も多いです)

 

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「愛着行動」とは、小さな子どもが親の後を追いかけたり、
しがみついたり、泣き叫んだり、微笑んだりすること。

「愛着」とは、母子関係を中心とした情緒的な結びつきのこと。

 

本書には、子どもの頃に愛着の欲求を十分に満たされなかったことが、
大人になってからどのような形で影響が出てくるかについて
様々な角度から述べられています。

例えば……

 

不安な人は一人でいることが楽しめない。

不安な人が楽にできる行動は基本的に愛着行動的な行動しかない。

心理的に不安な人が生き生きとしている時は本質的に愛着行動をしている時である。

●加藤諦三著『新版 自立と孤独の心理学』(PHP研究所/2010/P14)より引用

 

「不安な人が楽にできる行動は基本的に愛着行動的な行動しかない」

「しかない」というのは言いすぎかな?と感じつつも、
鋭い指摘だなと思いました。

 

「心理的に不安な人が生き生きとしている時は本質的に愛着行動をしている時」

確かに、子どもの頃から愛着的な欲求が満たされてこなかった場合、
それが満たされるときは大きな喜びが感じられると思います。

 

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ここで、一つの例を。

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愛着行動をさせてもらえる相手。

ようやくめぐり合えた相手。

 

ずっと甘えさせてほしい……

いつも構ってほしい……

満たしてほしい……

私だけを見ていてほしい……

 

喜びが不安を呼び起こし、
分離不安が強まり、相手にしがみつく。

愛情という名を使って
都合よく相手を支配・束縛しようとしてしまう。

 

過剰に依存し、相手への要求もどんどん高まっていく。

そして、相手にとって重たい存在になってしまう。

その重たさによって、
せっかく出会えた相手を失ってしまうかもしれない……。

********************

この形は、よく見られるものです。

 

表れ方や度合いの強さは人それぞれですが、
不安障害でお悩みの方の場合も、愛着的な欲求が満たされないまま
心の底に抑圧されていることが多いです。

 

そういう私自身も
10年以上前にSAD(社会不安障害)で悩んでいた頃は、
「他の誰かではなく、私のことを賞賛してほしい」という感情を
無意識的に相手に押し付けていたように思います。

それもまた、愛着的な欲求の一つと言えるでしょう。

 

※当時関わってくれていた人に向けて
心の中で「ありがとう&ごめんなさい」を、今言いました。
(本当に感謝です)

 

そういった「賞賛してほしい」という欲求を解消して自立心を育てた今では
「賞賛されなくても構わない(どちらでもいい)」という気持ちになり、
ずっと楽になれました。

もちろん、社会不安障害も克服済みです。

 

「不安障害の克服」と「愛着的な欲求の解消」、そして「自立」。

とても強く関連付いているテーマです。

 

愛着的な欲求(強くて未解決なもの)については
パーソナリティ障害(境界性、自己愛性など)の
原因としても挙げられます。

※パーソナリティ障害(境界性、自己愛性、反社会性など)の方については、
私は専門外ですので、基本的には受け付けしておりません。

※ただし、回避性パーソナリティの方の場合は
不安障害との区別が難しい場合もあり、受け付けしています。

 

私は不安障害専門カウンセラーとして、
不安障害でお困りの方に焦点を当てて、
しっかり対応していきたいと考えています。

愛着の問題は根深いテーマですが、
乗り越えると雲が晴れたように楽になれる要素でもありますので、
大事に取り扱っていきます。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!