境界性パーソナリティ障害の克服~愛着を癒す大切なプロセス

岡田尊司先生と咲セリさんの対談の本、
『絆の病 境界性パーソナリティ障害の克服』
を読みました。

 

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境界性パーソナリティ障害は、
生後の環境要因(親との愛着形成の問題など)が
発症の要因として大きいとされる症状です。

私は、愛着形成の問題(甘えたいときに甘えられなかった、虐待を受けたなど)が
後にどのように影響し、症状につながり、
それをどのように克服していくかという点に興味があって、
その分野についても学んでいます。

 

なぜなら、私の専門である不安障害の方にも、
程度の差はありますが、愛着形成の問題を抱えたまま
辛さを感じながら生きておられる方が多いからです。

 

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『絆の病 境界性パーソナリティ障害の克服』では、
咲さんが、ご自身の境界性パーソナリティ障害に関する体験を
語っておられます。

 

今でも病気を持っているし、薬を飲みながらではあるが、
調子がよくて、毎日が楽しくて幸せという咲さん。

優しい旦那さんの協力のもと、
「生まれなおし」「甘えなおし」「自分を愛しなおし」
(子どもの頃の得られなかったもの、できなかったことを、
大人になってからやり直し)を実践しておられます。

 

本書では、咲さんが過去の辛かった体験を
赤裸々に開示しておられますが、
開示しながら、感情的になったり、
対談相手の岡田先生に対して操作的になったりなどは
しておられません。

 

客観的に、冷静に、起こった出来事を
そのまま語る姿勢からは、
大きな山を乗り越えられた安心感・安定感が伝わってきました。

 

境界性パーソナリティ障害は、専門書では、
比較的難事例として紹介されることが多いのですが……

本書には貴重な成功事例(克服事例)が示されていて、
とても参考になりました。

 

また、岡田先生のご説明も、とても参考になりました。

例えば……

 

愛着の部分が非常に不安定になりやすい、傷つきやすい。

それがだんだん、相手が医師であったとしても、ひとりの人に対してほどよい距離で、安定した信頼関係を維持できるようになっていく。

実はそのプロセスが大切なんですね。

●岡田尊司+咲セリ著『絆の病 境界性パーソナリティ障害の克服』
(ポプラ社/2016/P81)より引用

 

「そのプロセス」とシンプルな言葉で語っておられますが、
境界性パーソナリティ障害の方の場合は、
色々な出来事(衝動的な行動化など)が起こり得ます。

「そのプロセス」で大事なのは、
クライエントさんのありのままを受容するということ。

 

組織的な受け入れ態勢を持たず、入院設備もなく、
薬の処方もできない私には、
境界性パーソナリティ障害の方の支援は対応しきれず、
中途半端になってしまいますのでお受けしておりませんが……

 

「そのプロセス」が大事なのは、
不安障害の方でも同じこと。

「ひとりの人に対してほどよい距離で、安定した信頼関係を
維持できるようになっていくプロセス」

 

不安障害の方に対しては、
「そのプロセス」を大事にしながら、
しっかり支援していきたいと思います。

 

『絆の病 境界性パーソナリティ障害の克服』

境界性パーソナリティ障害でお悩みのご本人や、
身近におられる方の参考になる、読みやすい本でした。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!