「うつ」と平常の境目 ~障害年金と生活保護

今日は、『「うつ」と平常の境目』という本の紹介と、
読んだ感想などを書いていきます。

臨床現場で繰り広げられている、ある問題についても
書いていこうと思います。

 

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『「うつ」と平常の境目』は、
「新型うつ病」についてを中心に書かれた本です。

精神科医の吉竹先生が実際の臨床現場で体験された
14の事例が載せられています。

事例には『「障害があった」ことにしてほしいとねだるOL』など、
「精神科医も大変だなぁ」と思わせられる内容が多かったです。

 

ありえない要求をしてくるクライエント(患者と言ったほうがいいのかな)。

対人操作(泣き落としなど)に逆ギレなど、何でもありの世界。

「色んなことが起こっているんだなぁ」と、
事例をどんどん吸収したい私にとっては、とても参考になりました。

 

ここから、今日のテーマに入ります。

ここ数年間の「新型うつ病」激増の裏には、
金銭の問題も絡んでいるようです。

 

医師の診断書は、これを悪用する者にとっては切り札のような効果を発揮し、経済的利益をもたらします。

前述したように、傷病手当の支給、障害年金の受給のほか、たとえば、失業保険(雇用保険)の給付、借金返済の猶予、生活保護の申請などにも威力を発揮します。

●吉竹弘行著『「うつ」と平常の境目』(青春出版社/2013/P147)より引用

 

診断書があれば、様々な利益が手に入ります。

過去5年間にさかのぼって障害を認定されれば、
障害年金だけでもかなりの金額を受給できます。

だから、必死になるのですね。

 

本書では、本来受給条件を満たしていない人が
診断書を手に入れるために、
次々と精神科医を訪ね(こっちがだめならあっちへと)、
あの手この手で食い下がる姿が紹介されています。

 

実際に障害レベルの病気でお悩みの方は、
これほどまでのバイタリティや行動力は発揮できない人が
多いのではないかなと思いました。

それに、自分のことを責めてばかりで、
障害年金のことまで頭が回らない人もきっとおられますよね。

 

本当に必要な人が、”活動的な戦略家” の陰に隠れて
受給できないなんてことにならなければいいなと
少し心配になりました。

不正受給により、予算が圧迫されることについても
何だか残念であり、心配な気持ちになりました。

 

これから、不正対策はどんどん強化されていくと思います。

障害年金にしろ、生活保護にしろ、
本当に必要な人(受け取るべき人)が、しっかり受給できるように
関係機関の人たちや、クリーンな判断をしておられる精神科医さんたちを
応援しつつ、これからも頑張っていただきたいなと思いました。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!