今日は、アスク・ヒューマン・ケアの本、
『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』を紹介します。
本書より引用しながら、「共依存と、そこからの脱出」
というテーマについても書いていこうと思います。
『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』は、
読みやすくて理解しやすい本です。
深いけれど、回りくどくない。
内容がよく整理されています。
1997年に初刷が発行された本書。
今でも刷りを重ねている理由、分かる気がしました。
本書の各章のはじめには、
それぞれ「詩のような」文章が書いてあります。
その詩のような文章が、とても意味深いメッセージになっています。
例えば……
あなたが笑ってくれなければ、私は幸せになれない。
あなたが喜んでくれなければ、私は踊れない。
あなたが呼んでくれなければ、私は存在しない。
あなたがいるから私がいる。
私はあなた。 あなたは私。
●『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』
(アスク・ヒューマン・ケア/1997/P108)より引用
自分の心を満たす役割(責任)や幸せにする役割(責任)、
存在価値を感じさせる役割(責任)などを
相手に背負わせている形ですね。
※「責任を背負わせることで自分を保つ人」と
「責任を背負うことで自分を保つ人」が、
かっちりはまった(共に依存した)状態です。
※このように、お互いに苦しい関係に依存し、
離れられなくなることを「共依存」といいます。
これを背負わされた(または、自ら背負った)相手は苦しいし、
背負わせた本人も、いつまでたっても満たされることはないでしょう。
なぜなら……
心を満たすことも、幸せになることも、存在価値を感じることも、
自分自身で責任を背負うことではじめて
自分でコントロールできるものになるからです。
※自分ではどうにもならないことも、もちろんあります。
(その場合、できることに意識を向けて、
できることをやっていくのがいいと思います)
相手に責任を背負わせている間(相手の責任を背負っている間)は、
相手の反応や選択に左右されっぱなしで、
いつまでたっても安心できません。
常に不安や恐怖、怒りなどの中で生きている状態に
なってしまいます。
※子どもの頃から心の奥に押し込めてきた(抑圧してきた)
不安や恐怖、怒りなどの感情がそうさせているともいえます。
その状態は、本書の詩ではこう描かれています。
ここは息ができない。
私がただよう夢の園は、底なし沼だったのです。
どろりとぬるい水の中で、苦しくてたまらない。
●『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』
(アスク・ヒューマン・ケア/1997/P108)より引用
「息ができない底なし沼」
息ができないほどの、がんじがらめな様子。
相手が相手らしく生きることを許さない。
相手なしでは、自分を保てない。
だから、抜け出せない。抜け出したくない。
そういった苦しいスパイラルがよく表現されています。
そして、そこから抜け出す場面は、こう描かれています。
もがいて水面に顔を出します。
風がこんなに気持ちいい。
●『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』
(アスク・ヒューマン・ケア/1997/P108)より引用
どろりとぬるい水の中から抜け出すときは、
はじめはもがくこともあるかと思います。
なにしろ、今までずっと浸かっていた世界から飛び出して、
新たな領域に行くのですから。
(現状を維持したがる潜在意識のメカニズムも働きます)
それでも、他人に過度に依存した状態や
「背負わせ/背負わされ」「操り/操られ」の状態から脱出し、
自分を取り戻す(再構築する)ことができたときには、
「風がこんなに気持ちいい」世界が待っているのです。
ここまで長くなりましたが、最後にお悩みの方に向けて一言を。
カウンセリングや心理療法を受けられるときは、
「カウンセラーが勝手に何とかしてくれる」
「カウンセラーが勝手に治してくれる」
という依存的な姿勢になるのではなくて……
※それは、今まで行ってきた
依存的な人間関係の再現なのかもしれません。
カウンセラーに話を聴いてもらったり、アドバイスをもらったりしながらも、
「取り組むのは自分なんだ」という気持ちを持って
取り組まれたほうが、明らかにいい結果が出やすいです。
もちろん、はじめは大変だと思います。
その大変さや湧いてくる気持ちをカウンセラーに聴いてもらいながら、
自立心を育てつつ、取り組んでいただきたいと思います。
「風がこんなに気持ちいい世界」
「あなた自身を生きる世界」
そこに辿り着いたとき、あなたの目には
世界はどんな風に映るでしょうか。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!