カウンセラーの文章力(国語力)の得手不得手は、
カウンセリングの出来栄えに大きく関わってきます。
例えば、相手の口から断片的に飛び出してきた
相手自身がまとめきれていない話を、的確な文章に要約して伝え返したり、
相手の話の裏側にある感情を捉えて、的確な言葉で伝え返したりなど。
そういう技術は、カウンセリングには欠かせない要素ではありますが、
習えば誰にでも簡単にできるようなものではありません。
(できているつもりには、なれますが……)
もっと奥の深いものだと思います。
自分のことを書くようで心がチクチクしますが、
例えば、何を言いたいのか分からないような文章を書くカウンセラーは、
何を言いたいのか分からないような伝え返ししかできないと思います。
(あるいは、ポイントがずれていたり……)
私は、もともと完全理系人間なので、
これまで文章(国語)の勉強を後回しにしてきました。
その分、これからはしっかり勉強をしていかねばと思っています。
最近では、文章力を鍛えるための本もよく読んでいます。
(力が身につくまでには、まだまだ時間がかかりそうです……)
前置きが長くなりました。
今日は、そんな私が最近読んだ文章力を鍛えるための一冊、
村田喜代子先生の『縦横無尽の文章レッスン』を紹介します。
本書は、様々な分野から優れた文章を短く、多数引用し、
それぞれに村田先生が解説を加えられた本です。
その優れた文章たちの出処を見ると、
何と、小学生の作文だったり、先生の教え子の作品だったり
その中に名作が混じっていたりと、その多種多様さには驚かされます。
どの文章も、感性が刺激され、
想像力がかき立てられる作品ばかりです。
私がいくら説明をしても伝わらないと思いますので、
ここで少しだけ引用します。
小学校二年の柿坂直宏くんの作品『かい水よく』からの抜粋です。
海でおよいだあと、ふねにものりました。
風がびゅんびゅんきてすごかったです。
ふねが通ると、海の水がどんどんうしろにながれていって、海がふねをよけているみたいで「おもしろいなぁ」と思いました。
ふねのうしろは、海の水がわいているみたいでした。
水がこゆい白にみえました。
●村田喜代子著『縦横無尽の文章レッスン』
(朝日新聞出版/2011/P13)より引用
私はこの作品を読みながら、
新鮮な感動を、生き生きとした表情で語る柿坂くんの姿が
まるで目の前に見えるように感じました。
「海がふねをよけているみたい」
「海の水がわいているみたい」
「水がこゆい白にみえました」
どれも、私には出てこない表現です。
柿坂くんの文章のような、「生」の躍動感が伝わってくる文章を
私も書けるようになりたいと思いました。
『縦横無尽の文章レッスン』
文章の世界の面白さを、優しく、楽しく教えてくれる一冊です。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!