ひきこもり救出マニュアル(理論編)~ひきこもりと自己愛

斎藤環先生の本、
『「ひきこもり」救出マニュアル<理論編>』
を読みました。

今日は、この本の簡単な紹介と、
「ひきこもりと自己愛」というテーマについて
書いていきます。

 

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斎藤先生の『「ひきこもり」救出マニュアル』には、
<理論編>と<実践編>がありますが、
今日紹介するのは<理論編>の方です。

Q&A形式の、読みやすくて分かりやすい本でした。

 

本書は精神疾患が伴わないひきこもりから、
精神疾患(統合失調症など)の伴うひきこもりまでの、
ひきこもり全般に対応した内容になっています。

幅広い内容が一冊に詰め込まれているためか、
すべてに対して深く掘り下げて書かれているわけではありません。

 

ですが、それがかえって読みやすさにつながっているとも感じました。

現在、ひきこもりでお悩みのご本人やご家族の方には、
参考になる部分の多い本だと思います。

(<理論編>と<実践編>のセットでおすすめです)

 

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本書全体から伝わってくるのは、
斎藤先生が、引きこもりでお悩みの方の味方であり、
肯定的な目で温かく見守っておられるということ。

その姿勢を私も見習いながら、
これからも不安障害でお悩みの方の
味方でありたいと思いました。

 

さて、本書には、ひきこもりの方の一つの傾向として、
以下のように書かれています。

 

ひきこもり青年たちは、良くも悪くも「自分が一番」というところがあります。

●斎藤環著『「ひきこもり」救出マニュアル<理論編>』
(ちくま文庫/2014/P46)より引用

 

この「自分が一番」という部分について、
「自己愛が強い」とか「自己中心的だ」とか、
どことなく批判的な目で見られることも多い中、
斎藤先生は、ここでも肯定的な目で見ておられます。

 

ひきこもった生活には、自己愛を支えてくれる他者との出会いが、徹底して欠けています。

そのような状況に長く置かれると、自己愛は状況をきわめて不安定ななものにするでしょう。

それでも生きていくためには、人間は自己愛にしがみつくしかない。

彼らの行動が結果的に自己中心的にみえようとも、それは彼らがまさに健全な自己愛を持ちながら、それを支える他者が欠けていることの結果なのです。

●斎藤環著『「ひきこもり」救出マニュアル<理論編>』
(ちくま文庫/2014/P73)より引用

 

「自己中心的に見えるのは、健全な自己愛を持ちながら、
それを支える他者が欠けていることの結果」。

決して「不健全な自己愛を持っているから」
とは書いておられません。

 

なるほど、健全だからこそ、当たり前の反応として、
自己中心的になってしまう(自己愛にしがみついてしまう)。

「確かにそうだなぁ」と思いました。

 

自分の自己愛を健全な形に保つために、
どれだけ他者の支えが必要であるかは、
人それぞれ(性格・気質・環境・状況・状態などによって異なる)
だと思いますが……

このように、温かく肯定的な目で見てくれる先生の存在は、
患者さんにとってとても心強く感じると同時に、
それこそが、患者さんが「ひきこもり」という枠の中から
飛び出していくために必要な、
他者信頼感(安心感)を育てるための土壌になっているのだと感じました。

 

なるほど、なるほど。

私もそういった関わり方を大事にしていきたいと、
改めて思いました。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!