高橋和巳先生の本
『心をはなれて、人はよみがえる カウンセリングの深遠』
を読みました。
本書でいう「心をはなれる」は、
解離や離人症のことではありません。
自分を丸ごと、ありのままに受け入れて、
しかも、その自分とは違う自分を
どこかに感じている現象のことをいいます。
例えば、私がこのブログの記事上に載せているメッセージ。
「あるがまま」に生きる。
震えても、赤くなっても、凹んでも
「それでもいいよ。よく頑張ったね」と
行動した自分に言ってあげる。
「震えて赤くなって辛くなってしまう自分」
「人の視線に怯え、固まってしまう自分」
「何でこんなこともできないんだと自責してしまう自分」……
そんな自分から一旦はなれて、
「それでもいいよ」と、自分の感情や症状のありのままを
見つめて、感じて、(結果的に)受け入れて、
「よく頑張ったね」と言ってあげる。
これも、「心をはなれる」の1つの形
(「人はよみがえる」につながる)だと思います。
『心をはなれて、人はよみがえる カウンセリングの深遠』には、
クライエントさんの回復過程での
「心をはなれる」の事例が多数載っています。
ひきこもり、パニック障害、神経衰弱状態、
児童虐待、うつ病、とめどなく広がる怒りなど
心の不調のカウンセリングでの事例に加えて、
カウンセラーがクライエントさんの話を
受容できなくなった瞬間を取り上げた
スーパービジョンの事例も載っています。
1つ1つの事例には、
クライエントさんの心の動きについての
丁寧な解説が付いています。
これらの事例と解説が
とても分かりやすくて参考になったので、
本書を読んでよかったと思いました。
例えば、スーパービジョンの事例において……
カウンセラーに話を聞いてもらえなかった時、受け止めてもらえなかった時って、もちろんとても残念な気持ちになります。
せっかく思い切って話したのに……と失望する気持ち、寂しい気持ちになります。
でも、これは後で時間がたってからわかるんです。
●高橋和巳著『心をはなれて、人はよみがえる カウンセリングの深遠』
(筑摩書房/2007/P82)より引用
カウンセリング中は
「こんな話をしてしまった自分が悪い」と、
自分の発言を恥じていたクライエントさんが、
実は心の奥底では、怒り(引用文では、失望と寂しさ)を感じていた……。
(カウンセリング中には、その怒りに気づかなかったけれど)
※感情転移も関係している可能性がありますが、
ここでは取り上げません。
カウンセラーが「何でも話してください」と言ってきたから
やっとの思いで秘密を打ち明けたのに……。
いざ打ち明けてみると、肝心のところで拒絶された……。
(話をはぐらかされてしまった……)
そういった怒りは、後になってから気づくこともあります。
「そういえば私も、話す側として同じような体験をしたことがあったなぁ」
ということを思い出しました。
このテーマ、私自身もカウンセラーとして
気をつけていかねばならないし、
そのためにも心のコンディションを
いつも整えた状態でいなければと、あらためて思いました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!