被害妄想や幻聴があるというだけで
統合失調症だと誤診されることがあります。
※十分な知識のない医師が、
十分な検査もせずに短時間で診断した場合など。
そして、必要のない抗精神病薬を処方された患者には、
薬の強烈な作用によって、
今まで不調の全くなかった部分(心身)に
強い症状があらわれることがあります。
※適切な診断・処方の場合でも、副作用が出ることがあります。
そこで、医師が誤診を認め、
薬や治療の方針を変更する場合はまだしも、
自分の誤診を認めたくないために
(あるいは診断力不足や病院の事情などのために)
誤った処方のまま薬の量を増やし、
患者の症状を取り返しのつかないところまで
追い込んでしまうこともあるそうです。
今日紹介する、読売新聞医療部記者の佐藤光展さんの本
『精神医療ダークサイド』には、
そのような精神医療におけるダークな現実が
生々しく描かれています。
『精神医療ダークサイド』には、
★統合失調症の誤診を発端とした悲劇
★不適切な多剤大量処方や電気けいれん療法の乱発が生んだ悲劇
★精神疾患のない女性が、強制的に入院させられた(監禁された)悲劇
★ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬の
不適切な処方が生んだ悲劇(依存性と離脱症状について)
など、残念な悲劇の事例がいくつも載せられています。
5分間の問診であっさり出してしまった誤った病名が
患者さんの人生を狂わしてしまうこともある。
何とかもっと、じっくりと丁寧に、
細心の注意を払って診断できないものなのかと
読みながら憤りを感じました。
※全ての精神科が、不適切な診断と処方を行っているという意味では
もちろんありません。
※統合失調症の診断には「本人に病識がないことが多い」など、
難しい面もたくさんあります。
いろいろ考えさせられる本書ですが、
読みながら特に感じたのは、セカンドオピニオンの重要性です。
※セカンドオピニオン:
診断や治療方針などについて主治医以外の医師の意見を聞くこと。
「薬をいくら飲んでも症状が悪くなる一方だ」と感じた場合や
「薬の量がどんどん増やされるが本当に大丈夫なのか」
と不安になった場合など
セカンドオピニオンを活用していただきたいと思いました。
ただし、評判のいい病院の予約を入れるのが困難だったり、
「主治医の機嫌を損ねてしまうのではないか」という不安があったりなど
セカンドオピニオンを利用したくても、
なかなかそうもいかない場合も多いようです。
患者さんにとっては大きな問題だと思うので、
今後の改善に期待したい部分です。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!