先月読んだ『人の目が怖い「社会不安障害」を治す本』に、
認知再構成法(三つのコラム法)が解説されていました。
通常とは少し違った方法が印象深くて
ずっと心に残っていましたので、
今日はそれについて書いていきます。
では、早速引用から。
自動思考に対する評価の方法は、治療者によって、パーセンテージで書かせたりする方法もありますが、私(細谷)は、「気分がいい(○)か悪い(×)か」に単純化しています。
●三木治、細谷紀江共著『人の目が怖い「社会不安障害」を治す本』
(マキノ出版/2007/P120)より引用
通常、私などは、自動思考が浮かんだ時の気分について、
「悲しい70%、怖い50%」
というふうに記録することにしているのですが、
なるほど、「気分がいい(○)か悪い(×)か」の2択で行っている方も
おられるのですね。
これを読んで、「確かにシンプルで書きやすいかも」と一瞬思ったのですが、
シンプルゆえに大事な部分までを削ぎ落としてしまっているようにも
感じました。
人それぞれ、スタイルの違い、考え方の違いがありますので、
良い/悪いとか正しい/間違いとかのジャッジをするつもりはありません。
あくまで私の考えということで、下にまとめたいと思います。
(私が○×式の利点を見落としている可能性は、大いにあります)
【1】○か×かの2択だと、具体的な感情にまで洞察を深めることができない。
【2】○か×かの2択だと、「全か無か」思考が助長される(習慣として定着する)
恐れがある。(中間が、大事なんです)
【3】クライエントさんに生じた気分に対して、×を付けたくない。
また、クライエントさんに、自分の気分に×を付けるということを勧めたくない。
×を付けると、そういう気分の自分(クライエントさん)が
まるで「ダメ」みたいだからです。
どんな気分にしても、いいとか悪いとかではなくて、
そこにある尊いものなのだから、大事にしていきたいです。
今までの気分や感情を否定せずに
「怖かったんだね」と受け入れつつ、
「馬鹿にされるに違いない」という自動思考も
「そう考えていたんだね」と受け入れつつ、
「でも、こう考えると、もっと合理的で楽になれるよね」
という形で、反証(反論)を探すのが私のスタイル。
そこには「ダメ」は、ありません。
だから、○か×かの2択のスタイルは、私にはしっくりこないです。
ただし、クライエントさんによっては、
「○か×かの方がいい」という方もおられると思います。
その場合は、上記【1】【2】【3】を考慮しながら、
クライエントさんの気持ちも汲み取って
その方に合う形を作ればいいと思っています。
柔軟性も大事ですよね。
(ただし、重要な部分は守りつつ)
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!