悩みを聴く技術 ~カウンセラーの瞬時の反応がクライエントさんの心を閉ざす

ジェローム・リス先生の本
『悩みを聴く技術 ディープ・リスニング入門』
を読みました。

今日はその本の簡単な紹介と、
カウンセラーから「イラッ」とされた
私の体験についてなど、書いていきます。

 

deep listining

 

本書で提唱されている聴き方は、
「ドキドキ」「ビリビリ」などの
身体感覚に注意を向けた傾聴です。

来談者中心療法にフォーカシングを組み合わせた内容となっていて、
ちょうど私がやっている(または、やろうとしている)ことと
共通部分が多い内容でした。

 

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本書には、カウンセラーがやってはいけない
注意点も多数載っています。

例えば……

 

話し手が悲しい体験を話していると想像してください。

自分の考えに集中している一方で、聴き手の表情や種々の表現にも敏感になっています。

そこで、聴き手が「違う、だめだ」といわんばかりに急に頭をふる、非難の意を込めてしかめっ面をする、怪しいと眉をひそめる、憤慨して目をむくなどのしぐさをすれば、話のさまたげになりかねません。

●ジェローム・リス著『悩みを聴く技術 ディープ・リスニング入門』
(春秋社/2009/P58)より引用

 

これはカウンセラーとして、
本当に気をつけなくてはならないことですね。

でも実際は、
その瞬間に気をつければどうにかできるような問題ではない。

カウンセラーの心の状態・心の在り様(未解決な問題や欲求など)が
瞬時に表に出てきてしまうということなのだと思います。

 

これは、カウンセラーだから上手とか、
ベテランだから上手とかいう問題ではありません。

実際私も、自分の思いを話す場面(穏やかに話した)で
カウンセラーに「イラッ」という表情をされたことが何度もあります。

 

※私の話した考え方が、
そのカウンセラーの考え方と異なっていたようです。

※攻撃や迷惑行為を受けた場合など、
カウンセラーが「イラッ」としても仕方ない場面もあると思います。
(今回の記事では扱いません)

 

私は「イラッ」とされた瞬間にこう思いました。

「この人は、自分と違った考え方を受け入れられないんだな」

「話を聴いてもくれないんだな」

「自分こそが正しいと思っているんだな」

「上から目線で嫌だな」

「最後まで聴きもしないで勝手に決め付けられて嫌だな」

 

結局、その人は自分の価値観に沿っているかどうかで
ジャッジしながら私の話を聴いているだけ。

しかも、上から目線で。

 

「イラッ」とされた瞬間に、
私にあった「その人に話そう」という考えは
一気に吹き飛びました。

その後、相手がどう取り繕おうが
もう話す気は起こりません。

私の中でその人は、「話したいとは思えない人」になりました。

 

……と、私が話し手側だったときの体験を書きましたが、
私自身も知らず知らずのうちに
「話そうという気持ちを失わせるようなこと」を
相手にしてしまっている可能性もあります。

これは、カウンセリングの技術や知識云々以前の問題で
本当に致命的なものになります。

 

自分の考え・表現は、多様性の世界の中での
たった一つの考え・表現に過ぎない。

上も下もない。

自分だけが正しいなんてあり得ない。

自分だけが優れているなんてあり得ない。

 

本当に気をつけていこう、
心を整えていこうと思います。

 

『悩みを聴く技術 ディープ・リスニング入門』

身体症状に注意を向けたカウンセリングのヒントをくれたり、
自分のカウンセリングの振り返りを促してくれたりなど
読む意義のある本でした。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!