彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか? 窃盗癖という病

最近、『彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?
という本を読みました。

今日は、その本から一部を引用しながら、
摂食障害と窃盗癖の治療の現状について書いていきます。

 

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本書は、群馬県渋川市にある
赤城高原ホスピタルの院長 竹村道夫先生監修のもと、
ライターの河村重実さんが執筆された本です。

赤城高原ホスピタルは、アルコール依存症の専門治療施設であり、
そこでは合併症としての摂食障害や窃盗癖の治療も行われています。

 

まず、本書の「はじめに—監修者のことば」から、
入院患者の現状が書かれている部分を引用しますね。

 

当院に入院する程度のやや重症の摂食障害(主に過食症)患者では、約半数に窃盗(主に万引き)行為があります。

その3分の1くらいには多少とも常習的な窃盗行為があり、またその一部は、警察や司法のお世話になってきました。

かくして、私たちと「窃盗癖」に悩まされている方々との接点が生まれ、拡大していった次第です。

●竹村道夫監修、河村重実著『彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?』
(飛鳥新社/2013/P002)より引用

 

かなりの高い割合で、重めの摂食障害の患者さんには、
病気による窃盗行為が見られるのですね。

本書には、窃盗癖の13の症例が掲載されており、
どれもが生々しい話ばかりで、患者さんたちの苦しさが
ひしひしと伝わってきました。

 

摂食障害と窃盗癖が併発していると、
治療やカウンセリングを受けている期間中にも
窃盗行為を働いてしまう可能性が出てきます。

患者さんご自身がコントロールできないままに罪を重ねてしまうと、
たとえそれが病気によるものだとしても、
罪はどんどん重くなっていってしまいます。

(それが更なるストレスに)

実際に、懲役刑に課せられることになってしまった患者さんも多いようです。

 

だから、外来で治療を済まそうと考えるのではなく
刑事罰が重くならないうちに心を決めて、
専門的な施設に入院した方がいいのではないかなと思いました。

入院して窃盗癖を封じ込める期間を設けたほうがいいのではと。

(何しろ患者さんご自身でコントロールできないことなので)

 

ただし、現実はというと……。

 

先に「窃盗癖患者は、疾病の早期段階で専門治療につなげる必要がある」と申しましたが、入院中にもさまざまな問題行動を引き起こす可能性の高い彼(女)らを快く受け入れ、専門的治療を施す医療機関は、今現在の日本全国を見渡してみても、赤城高原ホスピタル以外にはほとんどありません。

●竹村道夫監修、河村重実著『彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?』
(飛鳥新社/2013/P005)より引用

 

かなり厳しい現実ですね。

実際、ただの治療だけでなく、刑事手続きや裁判なども
並行して行っていくことが多いようで、
なかなか普通の施設では対応できないそうです。

 

でも、だからこそ、赤城高原ホスピタルの存在は
非常に大きくてありがたいですね。

現在、窃盗癖(や摂食障害、アルコール依存症)でお悩みの
ご本人や、身近にいて心配されている方は、
赤城高原ホスピタルのHPを見るなり、
ホスピタルに相談するなりしてみてはいかがでしょうか。

 

赤城高原ホスピタルのHP
http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/

 

今日紹介した本『彼女たちはなぜ万引きがやめられないのか?』も、
13の症例や治療・刑事手続きの進め方など
とても参考になりますので、興味のある方は読んでみてくださいね。

 

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今日も、ありがとうございます!

皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!