杉山登志郎先生の本、
『発達障害のいま』を読みました。
今日は、その本の簡単な紹介と、
「虐待によるトラウマ(と発達障害)」
に関する内容など、書いていきます。
『発達障害のいま』は、
発達障害全般について書かれた本です。
発達障害と他の精神的疾患の併発による難事例など、
数多くの杉山先生自らの臨床事例が掲載されています。
コンパクトな新書版の本ですが、
内容は深く専門的で、私にとっては
発達障害に関する理解を深めるための
いい資料になりました。
本書には様々な事例が取り上げられていますが、
中でも「PTSD(虐待による)と発達障害の併発」など、
トラウマ関連の障害と発達障害の併発事例について
深く書かれています。
※PTSD:心的外傷後ストレス障害
トラウマによる心の傷が深い場合、
発達障害の治療がうまく進行しているように見えても、
しばしば起こるフラッシュバックや解離(多重人格など)により、
元の苦しい状態に簡単に引き戻されてしまいます。
ですので、トラウマによる心の傷には
しっかり対処しておくことが必要となります。
本書では、トラウマ治療の定番の方法とも言える
EMDRを積極的に導入しています。
※EMDR:眼球運動による脱感作と再処理治療
私自身は、これまでクライエントさんに対して
EMDRは使ってきませんでしたが(※)、
改めて効果を再考してみたいという気持ちになりました。
※私自身がEMDRのセッションを受けてみたとき、
不快な感情のみが残ったという経験をしたためです。
もしセッションでEMDRを行う場合は、
単なる「How to」やマニュアル的なものではなくて、
クライエント様お一人お一人の状態に合わせ込みながら、
専門的に注意深く実施したい。
そうすることで、はじめて本当の効果が出るように思いました。
ここで話は変わって……「虐待」について。
子どもを虐待してしまう方の場合、
その方自身も子どもの頃に虐待されていたことが多いです。
『発達障害のいま』でも
そのことについて取り上げられています。
特に、(虐待してしまう)親に解離性障害(多重人格など)のある場合、
その傾向が顕著だということ。
※性的虐待を受ける → 解離性障害につながりやすいです。
杉山先生はそのようなケースの場合、
親子並行治療という形を取っておられます。
親と子の治療を平行して行った結果、
症状が改善されるだけでなく、
親子関係も大きく改善されるそうで……
その部分に、私は明るい希望を感じました。
さて、杉山先生とは違って薬の処方はできないし、
入院設備や体制も持たない私というカウンセラー。
自分に何ができるのかを、
改めてじっくり考えてみたいと思います。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!