うつと不安の認知療法練習法 ~認知再構成法と反証探し

社会不安障害の症状の軽減に効果的な心理療法としては、
認知行動療法、森田療法などが挙げられますが、
今日は、認知行動療法(認知療法)について書いていきます。

 

認知行動療法では、
不安や恐怖を生み出している偏った認知(考えや思い込み)
を客観的に見つめ、色々な角度から検証し、
より適応的な考え方や行動を習得していきます。

 

その取り組み方の一つとして、
認知再構成法(5つのコラム法・7つのコラム法など)
というものがあります。

 

その進め方は、


①状況(いつ、どこで、誰が、何を)
②気分(どう感じたか、%)
③自動思考(その状況・気分の時に自動的に浮かんだこと)
④根拠(自動思考を裏付ける事実)
⑤反証(自動思考やその根拠と矛盾する事実)
⑥適応的思考(新しい考え)
⑦今の気分(どう感じているか、%)

※7つのコラム法(5つのコラム法では、①~⑤まで)


……の順番で、ワークシートやノートに記入しながら、
反証や新しい考えを見つけていくというものです。

そして、気分がどう変わったかについても把握します。

 

少々分かりにくいと思うので、例を挙げます。

私自身の8年ほど前の体験を思い出しながら書きますね。

※私は、社会不安障害卒業生です。


①状況…今朝の朝礼にて。司会を担当したが緊張のあまり上手く話せなかった。
②気分…恥ずかしい(90%)、情けない(85%)、早退したい(70%)
③自動思考…体や声が震えていたので、同僚や上司に馬鹿にされているはずだ。
④根拠…人前で上手く話ができない自分は、社会人として失格である。
⑤反証…確かに話は上手ではないが、仕事では頼られることも多い。
⑥適応的思考…話し上手ではないからといって、馬鹿にされているとは限らない。頼られている部分もあるのだから、社会人として失格でもない。
⑦今の気分…恥ずかしい(50%)、情けない(30%)


という感じで進めていきます。

 

上記のステップで、最も重要とされているのが⑤反証です。

そして、最も見つけるのが難しいという声が多いのも⑤反証です。

頭の中が否定的な自動思考に支配されているときに、
その反証を見つけるのは容易なことではありません。

そこで、私の好きな反証の見つけ方を一つ紹介します。

 

「もし友人のKさんが同じような状況で同じような考えに落ち込んでいて、これと同じ材料を与えられているとしたら、あなたは彼女にどうアドバイスしますか」

●D.グリーンバーガー、C.A.パデスキー著『うつと不安の認知療法練習法』
(創元社/2001/p107)より引用

 

この方法なら、客観的な事実が見つけやすいですよね。

現在、認知再構成法に取り組んでおられる方で
この方法がしっくりくる方には、
心の片隅に入れておいて欲しいと思います。

 

ご自分で取り組もうとされている方に
「認知(行動)療法のお勧めの本はどれですか?」
と聞かれた場合、いつも私がお勧めするのはこの本です。

うつと不安の認知療法練習帳

(または『こころが晴れるノート』)

 


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長文になりましたが、ここまで読んでくださって、
ありがとうございます(^-^)