今日は、國分康孝先生の本、
『カウンセリングの技法』の紹介をします。
本書より引用しながら、
感情転移の扱いについても書いていこうと思います。
この本は、カウンセリングの勉強をしている者にとっては
定番の教科書的な存在の本です。
同じシリーズの本に、
『カウンセリングの理論』『カウンセリングの原理』などがあります。
この本では、カウンセラーの心構えや態度、面接の進め方など
カウンセリング全般に渡って解説されています。
私は自分自身のセッションを振り返り、
正すべきところを正すために、この本を時々読み返しています。
一冊丸ごと大事なことがびっしりと書かれている本なので
私同様、勉強中のカウンセラーの方にお勧めです。
ここで本書より、「これぞ!プロの仕事!」と
私の心に響いた部分を引用します。
クライエントさんがカウンセラーに対して、感情転移が原因で
特別な感情をいだいた場合の扱いについてです。
来談者の感情転移をカウンセラーが上手に扱った場合(すなわち、対抗感情転移を起こさず、相手方に感情転移を気づかせた場合)、来談者は不安や罪障感から解放される。
すなわち、先生を困らせている自分はよくない人間だ、という自責の念から解放される。
そして一層カウンセラーを信頼するようになる。
さらによいことには、そこで今まで経験しなかった新しい人間関係を学習することになる。
●國分康孝著『カウンセリングの技法』(誠信書房/1979/P116)より引用
※感情転移:心理療法とくに精神分析療法の過程で患者が治療者に向ける特殊な感情や態度。
※対抗感情転移:逆転移と訳す人もいる。
心理療法において患者から陽性転移を向けられると治療者は何となく良い気持ちになり、陰性転移を向けられると不快で嫌な感じがする。
このような患者からの感情転移に対応して治療者が抱く感情態度を対抗感情転移という。
●國分康孝編『カウンセリング辞典』(誠信書房/1990/P104,363)より引用
「クライエントさんの感情転移に対して、
カウンセラーが対抗感情転移を起こさずに、
自分の思いが感情転移によるものであることを
クライエントさんに気づかせる」
文章にすると、とてもシンプルなことのように見えますが、
実際はそう簡単なことではありません。
カウンセラーが知らぬ間に、強い対抗感情転移を起こしてしまったり、
気づいてもらう過程で、クライエントさんからの抵抗にあったりなど
様々なことが起こり得ます。
ただ、プロのカウンセラーである限り、
目指すべき(力を尽くすべき)領域であると私は思います。
「クライエントさんが、今まで経験しなかった新しい人間関係を学習すること」
そのための援助ができる自分でありたいと思いました。
今日も、ありがとうございます!
皆さまが、笑顔いっぱいでありますように!